今回のテーマは…『発達障害のある方々が集う、発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」』。
発達障害がある“働く人々”向けのバー
発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」は、東京・神田にあるイベントバー「エデン」を間借りして、月に1~2回主に週末にオープンします。

元は2017年にスタートし、一時期は渋谷で週3日ぐらい開いていたのですが、コロナ禍のため暫しの間休業。去年、現在の形で復活しました。
発達障害は生まれつき脳機能に偏りがある状態で、集中できない、じっとしていられないといった特性のあるADHDや、相手の気持ちを読取ることが苦手でこだわりが強いなどの特性がある自閉スペクトラム症等々、様々なパターンがあります。
そんな方々を対象に、こちらのバーがコンセプトにしているのは、“就労”“働くこと”!発達障害のある方々の中でも、働いている方々を主な対象として運営しています。

同じような悩みとか同じような人たちが集まれるような場所
発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」オーナー 光武克さん
「働いているけど、実は障害特性をまわりに言えなくてとか、障害者手帳を取得しているけど、まわりに出せていなかったり、逆に取ろうかどうか最後のひと押しが欲しいとか、自分は発達障害なのかどうか悩んでいて誰にも相談できないとか、結構働いている人ならではの悩みってあると思うんですよね。それって結局職場の人にも家族にも、なかなか理解者がいないって思っているので、そうした人たちが、同じような悩みとか同じような人たちが集まれるような場所があれば良いよねということで立ち上げたお店になるので」
光武さん自身が、ADHDなどの発達障害の当事者なんですが、そう診断されたのは、30代はじめのことでした。光武さんは当時、国語の塾講師だったのですが、教材作りでは、いつも時間を忘れて集中しすぎる「過集中」状態になって明け方まで作業を続けたりして、結婚生活では、妻とのコミュニケーションがうまくいかず、離婚に至っています。
光武さんは医療機関で診断を受けてから、周囲と付き合う方法について情報交換がしたくて、発達障害の自助グループに色々と参加してみましたが、そうしたグループが対象とするのは、子どもから高齢者まで幅広く、光武さんのニーズに応えるものではありませんでした。そこで「同世代とつながりたい」と考えた光武さんは、働いている方が、仕事帰りに気軽に立ち寄れるバーの開業を思いついたわけです。
私が取材に行った日は、午後5時の開店から10数席のカウンターに、引きも切らずにお客さんが来店する様子だったのですが、そんな中で初めて訪れたという2人に、話を聴きました。
男性客
「その特性があって、会社やお店で迷惑を掛けたことも、困ったこともあって、こういう場で新しい考え方、視野が広がったらな~と思って、今回来させていただきました」
女性客
「会社勤めがとても精神的に厳しい状況になったりもしたので、やはり自分は発達障害グレーソーンかなっていう。今はフリーランスで在宅で仕事しているんですけど、ちょっと人と会う機会があまりにもなさ過ぎたので、何か参加しやすいイベントか何か行きたいなっていうので、探していて…」
2人ともインターネットで、発達障害について交流できる場を探していて、ここを見つけたということです。カウンター越しに光武さんに、自分の悩んでいることや疑問に思っていることなど、一生懸命に話していました。