東京1113円、岩手893円…“地域差”が課題に

藤森キャスター:
これは全国平均の話ですが、大きな課題として、地域差があります。

47都道府県別の最低賃金(時給)を見てみますと、全国平均が1004円で、東京、神奈川、大阪などの都市部では平均を上回っていますが、わずか七都府県。それ以外は平均以下になってしまっている。つまり、都市部が平均を押し上げている形です。

一番低い岩手は893円で、東京の1113円と比べると、220円ほど差があります。

こうしたことを受け、全労連などの労働者団体は、「地域別の格差が都市部への人口流出を招いている」「全国一律で1500円以上の賃上げを」と訴えています。

一方、雇う側の日本商工会議所などは、「実態を十分に踏まえない引き上げが行われれば、地域経済を支える中小企業などの経営に深刻な影響を及ぼしてしまう」と訴えています。

小川キャスター:
「このまま最低賃金が上がっていったら人を削っていくしかない」という中小企業の方の声もありましたが、最低賃金に格差があるという実態をどう受け止めますか?

斎藤さん:
やっぱり全国一律に上げた方がいいと思います。

例えば、地方で1500円あれば、やっと普通の生活ができるかなという気がするので、地方創生で人口流出を抑えるという意味でも(上げた方が)いいのではないかと思います。

もちろんそうすると、地方企業、特に中小企業は体力的に苦しいという話もわかるんですが、日本は最低賃金がとにかく低すぎます。

人が安く働いてくれるのであれば、人間に働いてもらった方がいいので、新しい設備投資や機械などを導入しなくてもいいですよね。でも、それが日本の生産性をずっと低いままにしている一番の大きな原因だと私は思います。

そういう意味では、ここで賃金を上げることが日本経済を活性化させる役割もあると思いますし、まず低所得者対策をやらなきゃいけない。

中小企業は苦しいという話もわかるんですが、中小企業が苦しいのは、今の物価高や本来しなければいけない賃上げの価格転嫁ができていない面があるわけで、それは大企業に対してもしっかり求めていく。

そうやってある種の循環を作って、富をもう1回ちゃんと平等にするような形で移転していくことが、消費を喚起して、人々が普通の生活ができるような社会を作っていくという第一歩だと思います。