侵攻が始まり間もなく6ヶ月が経つウクライナ。ウクライナのメディアは、この戦争をどう伝えているのか。
戦時下で始まった"異例"の報道番組の舞台裏を取材した。また、国防省や放送を監督する規制当局への取材から見えてきた戦争報道の課題とは・・・。
■公共放送+民放が1つになって24時間放送「団結ニュースマラソン」
ウクライナの公共放送局「ススピーリネ」。“公共”という意味だ。2017年に国営放送を母体として発足し、ウクライナ全土に向けて放送している。

ロシアは侵攻開始直後、キーウのテレビ塔を爆撃したため、局舎がある場所を明かさないことや防空シェルター、警備にあたる武装兵を撮影しないことを条件に取材が許された。戦時下という特殊な環境で、ウクライナのテレビ放送は今、異例の取り組みをしている。
金平キャスター
「5つの放送局が、日本でいうとNHKと全民間放送局が1つになって統一して放送しているという」
公共放送と民放など5つのチャンネルが協力し、24時間切れ目なくニュースを放送し続けている。その名も「団結ニュースマラソン」。

放送局ごとに割り当てられた時間に報道番組を放送し、5つのチャンネルで全て同じ放送が流れている。ニュースの間に流れるコマーシャルは国威を発揚するものだ。
番組合間のコマーシャル
「団結すれば強し!ウクライナ軍を募金で支援しよう」

そのニュースマラソンの放送直前、編集作業が佳境に入っていた。
編集担当者
「この編集でどう?」
記者
「ここが一番面白いの?」
編集担当者
「いや、後半の方よ」
記者
「どんな内容?」
放送直前には緊迫したやり取りが続く…
記者
「穀物輸出船が出港したと一報を書きます!」

■記者がライフルを突きつけられることも
放送1分前、スタジオでは・・・。
金平キャスター
「こうやってカギを閉めて中に入れないようになる。ニュース番組を守るためっていうのがある」

放送中、スタジオにはカメラマン1人とキャスターしか入ることが許されない。
万が一の事態を想定し、部外者が侵入しないようにするためだ。

キャスター画面
「ヘルソン州では相変わらず緊張が続いています。道路が破壊され橋に爆弾が仕掛けられています」
ニュースの内容だけでなく、映像を送り出す心臓部の部屋にも戦時下を反映した機材が・・・。
金平キャスター
「あれは地図ですね。ちょうどいま空襲のアラート、警報が出ている地域があそこだというのがすぐに反応できるように準備されているというような機能がここにある」

街中では軍に関係する物を撮影することはできず、中継も思うようにはいかない。現場から帰ってきた記者は・・・。

同僚
「なに!?ライフルを突き付けられたの?」
女性記者
「そうよ。私はマイクを持っていて、キャスターの呼びかけが聞こえているのに、ライフルを持った兵士が来たから、『あと5分待って!中継だから逃げない!その後だったら対応できる』って言ったのよ。『検問所は映らないから』って言っても『言う通りにしろ』って聞かないから言い返してやったわ!『無理です!』って」
5つのチャンネルで同じ内容を放送する「ニュースマラソン」の担当編集長に思いを聞いた。
「ニュースマラソン」担当 オレナ・ボンダルク編集長
「ストーリーやその登場人物を通じて状況に対する自分たちの姿勢を伝えています。私たちはできる限り中立性を守るよう努めています。両者の立場を伝えるという原則に基づいて活動をしています。このような状況ではロシア側を取材し、その発言をそのまま放送できないので国際機関や私たちよりも視野の広い専門家達の考えを伝えています」

この「ニュースマラソン」の取り組みとは別に現場にいる個々人の判断で、社の垣根を超えて協力して取材に臨む人たちもいる。














