年金支給ミス 2023年度の過払いは178件 免除はされない?

上村彩子キャスター:過払い金を返還しなければいけないというのは分かるんですが、何も佐々木さんのお母様は手続きのミスもしていないですし。600万円というとても高い金額を返さないといけないわけですよね?
取材したMBS報道情報局 有馬 加奈子 記者:
これは私も「本当に返さないといけないのか」と思ったんですけれど、詳しい弁護士に聞いてみますと、今回の場合は「不当利得」といいまして、不当に得た利益に当たるので返還義務があるということです。
喜入友浩キャスター:義務がある…600万重いですね…。こうしたミスは今回のケースに限った話ではないようです。日本年金機構によりますと
▼年金の事務処理誤り
事務処理のミス:1175件
過払い件数:178件
過払い合計金額:7777万2359円
喜入キャスター:単純計算すると、1件当たり平均で月額3万6000円の過払い。10万円とか100万円ではないので、気付きにくいですね。
上村キャスター:調べようもないわけですよね?
有馬記者:なかなか自分では気づきにくい。
喜入キャスター:なぜこうしたミスが相次ぐのか、年金機構の広報担当者はこう話しています。

日本年金機構 広報担当者
「人間がやることになるので、確認不足や事実関係の誤認で、誤りが起きてしまっている」
喜入キャスター:今回のケースはどんな原因があるんでしょうか?
有馬記者:今回の場合は公立学校共済組合によるもので、当時は紙で処理をしていたので、ミスが起きてしまったということでした。今はデジタルデータで処理されているようです。
上村キャスター:そもそもなぜこのミスに10年も気づかなかったのでしょうか?

有馬記者:今回の場合は日本年金機構による指摘で気づいたそうです。年金の支給額がそもそも「誤っていない」「間違っていない」前提だったので、10年間気づかれなかったのではないか。支給する側が10年間気付かなかったものを、受給者側が気づくというのは「不可能に近いのでは」と個人的には感じました。
上村キャスター:佐々木さんはお母様が亡くなったら、代わりに返済しないといけない。なかなか働けない状況で厳しいとは思うのですが、免除や減額というのはされない?
有馬記者:方法としては「相続放棄」があります。相続放棄をすると、負債も受け継がれることがないので、支払うこともなくなる。しかし当然、住宅・財産も受け継ぐことができなくなります。年金は生活に直結するものになります。「過大に支給したから返還してほしい」というだけではなく、受給者側に寄り添った対応が求められるのかなと感じます。














