全国一律の完全無償化に「約5100億円」

日本総研主席研究員 藻谷浩介さん:
奈良市は、決して子どもを大事にしていないわけではなく、むしろ熱心だと思います。県庁所在地ですけども、大きな産業は観光とお寺で、税収が非常に少ない上に、高齢化した団地が多いです。

“自治体ガチャ”で給食をとっているのに栄養が足りないのは、先進国として恥ずかしいことです。国が何かしら手を打たないといけない。保護者と自治体に任せるのは限界じゃないですか。

藤森キャスター:
一つの象徴かもしれないですね。

小川キャスター:
子どもの学力・体力・学習へのモチベーションにも大きく影響してきます。そこに格差が生じるのも大きな問題ですが、一方で全国で一律に無償化となると約5100億円がかかります。

日本総研主席研究員 藻谷浩介さん:
「5100億円」という金額は、決して少なくない。例えば、話題の「政党交付金」でも300億円くらいですよね。それをやめたら何とかなるレベルではないです。

一方で、国の税収は70兆円を超えています。2022年度は史上最高になり、23年度も近い水準ではないかと言われています。

株が上がって税収は史上最高水準で、子どもは昔の半分近くまで減っているのに、数十年前に私が給食を食べた頃に比べて、内容が明らかに落ちてる。これはおかしいですよね。

つまり、70兆円の税収の中で約5100億円ですが、他を削るべきという議論が出てもおかしくないと思います。

少子化で一番困るのは企業だと思っています。人が減り、お客さんが減り、そして従業員が減るという企業です。企業1社で考えると、5000億円の利益を上げている企業はあると思います。かなり下がってきた法人税を少し上げて給食費に回すなどをしたら、企業は全員反対するでしょうか。

受益者負担で考えると、日本の子どもを大事だと思ってるのは親以上に、実は企業・社会ももっと負担をしていいし、政府もそういうことを考えて出していいのではないかと思います。

小川キャスター:
将来の働き手としてですよね。