15日に東京で行われる全国戦没者追悼式で、岡山県高梁市の男性が遺族代表として言葉を述べることになりました。男性は、「戦争が家族を奪う悲劇は二度と起きてはならない」と平和への思いを語りました。

全国戦没者追悼式で「追悼の辞」を述べる、大月健一さんです。戦争で父親を亡くしました。

(大月健一さん)
「追悼の言葉を読むということが初めてです。83年目にして『初めて父に会えたな』というかんじです」
国が主催して、戦没者を悼み、平和を祈る全国戦没者追悼式。今年は全国から1000人以上が参列する予定です。遺族代表の「追悼の辞」は、国から岡山県に打診があり、岡山県の遺族連盟の理事長を務める大月さんが選ばれました。

(大月健一さん)
「実感がないんです、親が死んだことに。生れた時からいないから、本当にいないのか、いつ頃からいないのかも分からない」

陸軍の部隊に所属し、日中戦争で出征した父、克巳さん。昭和13年、大月さんが生まれるわずか16日前に、中国・河北省で戦死しました。

一家の大黒柱を失い、母と姉と3人で野菜を売り歩きながら暮らしたといいます。
(大月健一さん)
「夜遅くまで稲刈りをして、帰っても家に灯りはついていない。寂しいところに子供と母親が帰って『なぜこんなことが起きるのか』といつも感じていました」
「日本全国、世界が平和で、お互いに手をつないでいけるような世界にしたいな。ということは、経験したうえで願っています」
戦後77年目の祈りの夏。岡山県からは大月さんをはじめ20人の遺族が全国戦没者追悼式に参列する予定です。