クックパッドの「食トレンド予測2024」。パリおにぎり、クラフト紅茶、モノクロスイーツなどが並ぶ中、唯一野菜で選出されたのが「とうもろこし」。品種改良が進み、メロンよりも糖度が高いものから、日本初の“赤いとうもろこし”。さらには、“予約待ち2千件”まで出てきた「とうもろこし」の最新事情に迫ります。
さつま芋の次は、とうもろこしが来る!
「今とうもろこしは甘いものが増えているので、スイーツっぽく楽しまれるのではと予想している」と話すのは、クックパッド編集部の植木優帆さん。
これはさつま芋がブームになった経緯と似ていて、すでにプリンやラテ、かき氷にも、とうもろこしが使われ始めているとのこと。

そんな“とうもろこしスイーツ”に欠かせないのが、糖度の高いとうもろこしですが、静岡県には、“争奪戦になっている”という現場がありました。
“メロンよりも甘い”とうもろこしが育つ2つの秘訣
静岡県西部の山間地にある森町。午前4時半に取材班が到着すると、すでに売店の前には行列が!先頭の男性はなんと「前日の夜11時半から並んでいる」とのこと。そのお目当ては、『森のとうもろこし』。

黄色と白の粒が入り混じったバイカラーで、1袋(5~8本)1400円(※税込)。平日は2万本、週末は3万本が完売するほどの人気だといいます。
人気のワケは、糖度20度という甘さ!これは完熟マンゴーやメロンよりも高い数値で、獲れたてを生で食べたTHE TIME,マーケティング部の原千晶部員は「ウソでしょ!この甘さ。甘すぎます!」
この品種「甘々娘(かんかんむすめ)」は、他の地域でもよく栽培されているものですが、ここまで甘くなる秘密は、「土地の寒暖差にある」と生産者の鈴木農園・鈴木弥さんは話します。
森町では、この時期、日中は26~27℃でも朝方には15℃ほどに。とうもろこしは、日中に葉の光合成で作ったエネルギーを夜間、糖分に変えて実に蓄えるため、寒暖差が大きいほど甘く育ち、夜明け前が一番糖度も水分も多くたまり美味しくなるといいます。
鈴木農園 鈴木さん:
「なので朝4時半に収穫して、即販売。とうもろこしは収穫した時からどんどん糖度が落ちていく」
ただ、一度加熱調理すれば、美味しさは保つことができるとのことです。
甘さの秘密は、もう1つ。この地に代々伝わる「三毛作」にもありました。鈴木さんの畑では、とうもろこしを収穫した後に、畑を水田にして米作り。さらにその後にレタスを栽培しています。

鈴木農園 鈴木さん:
「とうもろこしの収穫後に茎も一緒に耕すので、土が肥料過多になる。お米を植えるとお米がその養分を吸ってくれるので、レタスを植える前に土をリセットできる」
とうもろこしは、単価が安いうえ、1株から1~2本しか収穫しないため、採算のとれにくい野菜。三毛作は、それをカバーするだけでなく、とうもろこしに適した土作りにも役立つとのことで、全国からの視察も多いと話します。