■弁護人の冒頭陳述
◆親子関係、生活状況
・小学2年の頃から学校を休みがち、中学入学後は不登校
・一時、フリースクールに通うも、18歳ごろから自宅で引きこもり
・自殺未遂くり返し「田村瑠奈は死んだ」と言い始める
・自分の死体に複数の人格が入り込んでいる妄想=ゾンビ妄想を抱き、自分が田村瑠奈である認識なくなる
・修被告を「ドライバーさん」浩子被告を「彼女」などと呼ぶようになる
・自分の物を触られることを極端に嫌がる
・自宅内は瑠奈被告の物やゴミであふれかえり、足の踏み場もない状態
◆被害男性との接点、殺害の動機
・数年前からホラー映画やSMプレイに興味
・怪談バーに行くようになった後、被害男性と知り合うダンスクラブへ
・意気投合した女性とカラオケのはずが、ホテルに連れて行かれ、女性は女装した男性だった
・避妊せずに性交されたことに怒るも「謝ったら、許してあげる」
・ススキノのダンスクラブを回って被害男性を探し、7月1日に会う約束
・SMプレイをするような話
・別の男性ともホテルでSMプレイ
・修被告とリビングでSMプレイの練習
・瑠奈被告が楽しみにしている様子だったので、両親は止めることはできないと判断
・被害男性に止めてもらうよう求めるも「向こうが会いたがっているわけだから」と拒まれる
・瑠奈被告が嫌がることをしないよう、被害男性に依頼
・あくまでも両親はSMプレイに行くものと思う
◆殺害後の状況
・事件発生の翌朝、浴室に見慣れないプラスチックケース
・瑠奈被告の物は触れないため、中を確認せず
・数時間後、瑠奈被告から「おじさんの頭を持って帰ってきた」と告げられるも、現実感なし
・翌日、報道で事件を知るが、恐ろしくて近づけず
・瑠奈被告から「見て」と言われ、すでに皮を剥がされ、全体が赤くなった頭部を目の当たり
・「この世の地獄がここにある」と深い絶望感
・インスタントカメラの写真3枚を差し出され、強い口調で「ちゃんと見て!」
・浴室で動画を撮影することも頼まれたが、赤い頭部を直視できないため、具体性がないまま、修被告に助けを求める
・その後も眼球が入ったガラス瓶を見せられたり、寝床の近くに置かれたりする
・「私の作品を見て」と言われ、干された皮を見せられる
・言葉では言い尽くせないようなストレス、あまりにも異常な生活だったが、成す術なく「警察が来たときは、運命を受け入れよう」
・これまでどおり、家族として過ごすことを選択
・瑠奈被告だけが逮捕されると思っていたところ、夫、さらに自分も逮捕

そして迎えた浩子被告の2回目の公判に修被告が証人として出廷、被害男性の遺族に「言葉では言い尽くせませんが、取り返しのつかないことをした。大変、申し訳ない」と謝罪。
その上で、警察に通報しなかった理由について修被告は「ススキノから家に戻ると、娘から『首、拾った』と告げられ、初めて犯行を知った。現場まで自家用車で行ってたから、すぐに逮捕されるだろうと思った。警察に突き出すのは、娘が抱えていた何かを抱えきれず、裏切る行為になると思ってできなかった。今も娘は相当苦しんで、病んでるから、これ以上、娘を追い詰めたくなかった」などと説明。
検察から「奴隷」と指摘された親娘関係については「娘の心がこれ以上壊れないように、行動選択していた。10年ぐらい前から『瑠奈』と呼びかけると『その子は死んだ。その名前で呼ばないで』と一貫していた。自傷行為やオーバードーズくり返していたので、本人を追い詰めないようにすることが望ましいと思っていた」と述べました。

浩子被告が涙を拭いながら見つめる中、修被告の証言は約1時間半に及び、7月1日の公判は終了…次回は8月30日、引き続き修被告の証人尋問などが行われる予定です。