「評価されるわけないじゃないか」内閣支持率は4.7ポイント下落

岸田内閣の支持率は前月調査から4.7ポイント下落し、25.1%だった。麻生副総裁、茂木幹事長の反対を押し切り、総理の決断で公明、維新に大幅譲歩した今回の自民党の改正案だったが、7割が評価せず、政権の支持率にも繋がらなかったようだ。

この結果を聞いた自民党幹部は「予想通りだ。今回の結末が評価されることなんて絶対ない」と淡々と話した。

自民党議員にとっては、パーティー券の公開基準を「5万円超」に引き下げることで収入が激減する議員もいることから総理の求心力低下や、公明などの案に反対する麻生氏らとの確執がより深まったことなどが指摘された。

さらに自民、維新の党首間で合意していたにもかかわらず、政策活動費をめぐり「全て公開すべき」とする維新に対し、自民の修正案に「50万円を超えるものに限る」と条件が付けられていたため、維新が土壇場で猛反発したこともあった。法案の詰めの部分が甘く、結果的に3度も修正案を出し直すことになったことについては自民党内からも「党のガバナンスが崩壊している」と呆れ声があがった。自民、維新双方が“お粗末だった”との見方が大勢だが、いずれの話も、国民からは遠い“永田町の中の話”だったと言える。

この期に及んで「自民党のことほめてもいいんじゃないの?譲るところ譲ったんだから」との声が自民党内から漏れ聞こえてくるのは、国民といかに感覚がずれているかを物語っているのではないか。

改正案は参議院に送られたが、求められているのは裏金事件の再発防止にむけた実効性のある政治改革である。

(6月JNN世論調査の結果概要は以下の通り)

●岸田内閣の支持率は25.1%。前の調査より4.7ポイントの下落。不支持率は71.6%で前の調査より3.7ポイント上昇。

●政党支持率では自民党の支持が23.8%(前の調査より0.4ポイント上昇)。立憲民主党は7.3%(2.9ポイント下落)。日本維新の会は4.3%(0.3ポイント下落)。

●いま衆議院選挙が行われた際、比例代表の投票先は自民24.2%、立憲16.9%、維新10.3%、公明5.4%、共産5.5%、国民5.1%、教育0.8%、れいわ4.0%、社民0.8%、参政1.7%、その他0.7%

●次の衆院選後の政権について、「自民党中心の政権の継続を望む」が39%、「自民党以外の政権に交代することを望む」が48%

●定額減税について「大いに評価する」6%、「ある程度評価する」31%、「あまり評価しない」37%、「全く評価しない」23%

●政治資金規正法改正案をめぐり公明、維新などの主張を盛りこんだ自民党の修正案について「大いに評価する」4%、「ある程度評価する」24%、「あまり評価しない」31%、「全く評価しない」39%

●「企業・団体献金」について「認めるべき」28%、「禁止すべき」54%

●「政治資金パーティー」開催について「大いに納得できる」3%、「ある程度納得できる」22%、「あまり納得できない」39%、「全く納得できない」34%

●ライドシェアの「全面解禁」について、「賛成」38%、「反対」48%

【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。

6月1日(土)、2日(日)に全国18歳以上の男女2231人〔固定890人、携帯1341人〕に調査を行い、そのうち45.2%にあたる1008人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話503人、携帯505人でした。

インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。

より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。

TBS政治部 世論調査担当デスク 室井祐作