実際に弁護士に無罪にしてくれと頼む依頼人はいる?
そんな中、殺人犯の無罪を主張するシーンにおいて実際は、「私は罪を犯しましたが、なんとかしてくださいと言われることはほとんどない」のだとか。
「堂々と罪を認めながら、犯人ではないと主張して欲しい、と頼まれることはなかなかないですが、弁護人としては客観的な証拠や状況から見て罪を犯した可能性があると感じても、本人の意向にそって「やっていない」と主張する…そういった状況なら少なくありません。私の経験では多くの場合、被疑者・被告人と粘り強く対話を重ねる中で、実は犯人であるという告白を聞かされた、というパターンが結構多かったです。こうしたことがあるので、私は、本人から本当のことが聞けたと確認が持てるまで、とにかく面会に通って対話を重ねていくことを心掛けています」と、真剣な表情を垣間見せた。

最後に、國松弁護士がなぜドラマの法律監修をしているのかという話題に移ると「私もエンタメが好きなんです」とトーンが一変。自身もその昔、法曹界を描いたエンタメ作品に触れ、弁護士という職業に興味が出たと明かしてくれた。そして、現在法律家を目指す学生などから話を聞かせてもらいたいと問い合わせをもらうこともあるのだとか。
「エンタメコンテンツはリーチの幅が段違いなので、影響力がとても強いと思います。そこで興味を持ってもらえれば、我々の業界にとってはとても良いこと。ドラマの監修をする弁護士は決して多くはありませんが、カッコイイ仕事だなと思ってもらえるエッセンスを加える作業をすることで、法律や裁判、あるいは法曹という職業に興味を持つ人が1人でも増えてくれたら。それが、この業界で仕事をさせてもらっている私の役割だと思っています」と法律監修としての矜持を示し、インタビューを締め括った。