侵攻が始まってから、毎日1時間…
6月1日(土)、ぼくたちはJR新宿駅南口で待ち合わせした。予定時間に現れた古澤さんは、想像よりも背が高かった。「よろしくお願いします」と初めて対面するぼくに丁寧に挨拶する。仕事がある平日は夜に活動するが、仕事がない土日は日中に街角に立つ。去年10月のガザ侵攻が始まってから、毎日1時間立っているという。

古澤さんはカバンに入れていた紐のついたプラカードを首にかけ、スカーフをまいた。

スカーフをまく古澤さん

「スカーフはパレスチナ民族衣装でクーフィーヤという抵抗のシンボルです」

準備をしていると外国人から次々と声を掛けられる。在日フランス人の女性は、プラカードを一緒に持ち記念撮影をした。日本の大学を卒業したばかりだというパレスチナ人の男性も、古澤さんと握手して、傍らで見つめていた。みな古澤さんのインスタグラムを見て、会いに来ていた。この活動をはじめてから古澤さんのインスタグラムのフォロワー数は13万5000人まで増えた。そのほとんどが外国人だという。

外国人と挨拶を終えた古澤さんは、おもむろに歩道の真ん中に立ち、声をあげはじめた。

古澤裕介さん(6月1日)


「新宿駅ご通行中の日本人の皆様。パレスチナのガザ地区でいま多くの民間人がイスラエル軍の国際法違反、国際人道法違反の攻撃により、大量に殺されている」

「多くの民間施設が空爆され、病院が破壊され、学校が破壊され、決してやってはいけない戦争犯罪を何度も何度も繰り返し、ついに7ヶ月半も経ってしまいました」