過大に支払われた助成金は、どこに消えたのか。

HBCが入手した「中和興産」の男性経営者が利用していた法人カードの利用明細書によると、2021年のある月の請求額はおよそ960万円。明細をみると1日に何軒も飲食店を利用していたことがわかります。その多くが、ススキノにある女性による接待を伴う店でした。

中和興産の元職員
「男性経営者の快楽のために使われてますね、実際のところは…。ススキノの夜のお店で一晩で300万円とか使うことも、日常化してますので。保育事業に何の関係があるのか」
子どもを預けていた保護者
「中和興産にも電話したら電話つながらない状況で」
保育園が休園してから、保護者からも連絡が取れない状態だという「中和興産」。
働いていた保育士
「(子どもたちに)申し訳ないですし、もっと早い段階でわかっていれば子どもたちも保護者も、路頭に迷わなかったっていうのは、私の中ですごい思っていて…謝っても、謝り切れない」

「だからきちんと表に出て謝るなり、説明責任をきちんとしてほしいと、私は思います」
今年3月の取材では…。

石黒拓海記者
「児童育成協会からの助成金で、水増し請求が行われていたんではないか…という話を聞きまして」
中和興産の男性経営者
「いや、水増しっていうか、概算と清算の差はあるので、それを返却するっていうことはやって…すみません、撮らないで欲しいんですけれど」
男性経営者はこれまでHBCの取材に対し、助成金の水増し申請の疑惑を否定してきました。今回の休園措置について、改めて取材を申し込むと…応答はありませんでした。
行き場を失った74人の園児について、札幌市は保護者から転園先の希望を聞き取り、来週中をめどに転園できるよう調整するとしています。また「中和興産」に対する認可の取り消しや、刑事告訴についても検討するとしています。
もしも助成金が私的に使われていたとすれば大問題です。その過大に支払われた助成金の額をまとめました。
▼《4つの認可保育園》
・札幌市から約2600万円の助成金の返還を求められる。
▼《1つの認可外保育園》
・児童育成協会から約4700万円の助成金の返還を求められる。
当然、札幌市からの助成金は、税金から成り立っていますし、児童育成協会からの助成金は、全国にある数多く企業から集めた拠出金がもとになっています。いずれについても、未だ返済されていません。
こうした助成金の申請などについて、保育園の経営に詳しい【株式会社いちたす・大窪由衣さん】に尋ねました。
▼申請内容のすべてをチェックできる体制になく、一部は事業者のモラル任せになっている。
▼人手を増やすなど、チェック体制を強化したり、申請の抜け道をなくすルール作りが必要。
待機児童の問題を背景に、参入する事業者が増える一方で、事業者のモラルが問われています。