オオワシは林さんにとって思い入れのある鳥でもあります。


今から25年前、林さんは、諏訪湖で衰弱して動けなくなっているオオワシを保護し、自宅で介護したことがありました。

林正敏さん:
「特にこのオオワシの場合は国の天然記念物だし、数が極めて少ない。だから貴重な鳥を何とか助けようと思った一念でしたがね」

林さんの手厚い介護の甲斐あって、元気になったオオワシは保護からおよそ1か月半ぶりに大空に放たれ、北の大地へと飛んでいきました。

以来、オオワシは19年間、冬を越すために毎年諏訪湖に帰ってきたのです。

林正敏さん:
「翌年に帰ってきて、初めて北方へ行って生活をして戻ってくるわけですから、完全に野生に復帰したと。そのときはやっぱり一番の喜びでしたね」

小さなころから鳥に親しんできたという林さんはその魅力をこう語ります。


林正敏さん:
「鳥というのは長い長い地球の歴史が生み出した素晴らしいもの生き物だと思うんですよね。綺麗な声で鳴きますよね。また姿も美しい。だから、絵画的でもあるし、音楽的でもある。そういう生き物ってのはこの鳥がやっぱり一番なんですよね」

鳥を思う気持ちはカラフルな剥製にも。

近年、林さん自身が作ったインコやオウムの剥製です。


林正敏さん:
「ペットショップなんかでね、鳥が亡くなると、それがそのまま廃棄処分されちゃうんですよ。生き物が人間の勝手でそういう処理をされるのも、私はどうかと思いまして、そういうものをもらって、これを子どもたちのですね、学習の教材として作ったんですが」

剥製の学術的価値の高さを訴えてきた林さんは、90年代に諏訪地域などの小中学校や高校の標本を調査しました。

天然記念物などの貴重な剥製も、埃をかぶったり、羽が抜け落ちたりするなど放置されているケースがあり、学校教育に生かされていないと感じたといいます。

林さんは今回の展示会のあと、標本をすべて茨城県つくば市にある国立科学博物館へ寄贈する方向で準備を進めています。


林正敏さん:
「現在あるものをぜひ最大限に生かしてほしいというのは私の願いなんですが」

45年間大切に守ってきた3000点の剥製。

貴重な財産として未来へつなげてほしいと林さんは願っています。