大激戦の代表争い!女子100mハードルにヒロイン集結

田中佑美選手


今、最も熱い代表争いが繰り広げられる種目は、女子100mハードルと言っていいだろう。日本人選手にとって100mの9秒台と同様に語られてきた女子100mハードルの12秒の壁―。その壁を5年前に寺田明日香が破ると、その後6名が次々と12秒台に突入。一気に女子ハードル界が盛り上がった。

今大会には、唯一の12秒7台を持つ日本記録保持者の福部真子(28、日本建設工業)、前日本記録保持者の青木益未(30、七十七銀行)、同じく前日本記録保持者の寺田明日香(34、ジャパンクリエイトグループ)、今季日本最高タイム12秒90を出している田中佑美(28、富士通)など、自己記録12秒台を持つ全6名がそろい踏み。

今季は田中が絶好調で、4月29日の織田記念を雨が降る悪条件の中13秒00で制すると、5月12日の木南記念では向かい風の中、予選で12秒94を記録。さらに翌週のゴールデングランプリ陸上では、同じく向かい風の中、自己記録に迫る12秒90で日本人トップの2位に入った。現在、ワールドランキングでは田中が日本人最上位の33位(40位までがパリ五輪出場権を有する)、次点で寺田が圏内ギリギリの40位につける。

日本記録を持ちながら、昨年の日本代表争いに敗れた福部は「昨年は良い姿を見せられなかったので、今シーズンは笑顔の多いシーズンにしたい」と五輪シーズンへ気持ちを新たにした。真夏の大舞台へ、記録と勝負の両方が求められる今大会はまさに激戦必至の様相だ。

男子110mハードルは世界トップレベルの戦い

村竹ラシッド選手


昨年の世界陸上ブダペスト大会で、ひとりの日本人ハードラーが歴史を創った。準決勝で堂々の組1着に入り、日本人初の決勝へと進んだ泉谷駿介(24、住友電工)。決勝では世界の5位、今年のパリでは世界的にもメダルを有力視される注目のハードラーだ。

既にパリ五輪代表内定を決めている泉谷と同じ日本記録を持つのが、今大会に出場する村竹ラシッド(22、JAL)。昨年4月のレース中に肉離れをするアクシデントで世界陸上の出場は叶わなかったが、復帰後9月の日本インカレで泉谷の日本記録に並ぶ13秒04をマークし、パリ五輪参加標準記録も突破。

一概に比べられないが、この記録はリオ五輪(1位13秒05)、東京五輪(1位13秒04)で金メダルに相当し、世界でも“トップ・オブ・ザ・トップ”のタイム。その記録を日本勢2人が持つという、まさに世界レベルの種目となった。

今大会には村竹に加え、参加標準記録を突破している野本周成(28、愛媛陸協)、昨年のアジア大会金メダルでワールドランク出場圏内につける(25位、40位までが参加資格を有する)高山峻野(29、ゼンリン)らが出場。ハイレベルな勝負を制すれば、日本記録誕生も夢ではない。