グラウンド利用は週2回・・・限られた練習時間で


そして今年7月。
イチローの指導を受けた高松商業は夏の甲子園切符をかけた戦いに挑みました。

浅野翔吾選手(3年):
負けたら引退っていう感じなので、緊張感があります。

山田一成選手(3年):
香川県で1番長い夏にして、そこからはまた甲子園で勝ちあがるっていうのを目標にしたいと思います。

江西一郎選手(2年):
イチローさんの教えをしっかり貫いて勝てたっていうことを証明したいです。

チームを率いるのはキャプテンの浅野翔吾選手。

身長171cm、体重86kg。筋骨隆々の体から放たれる打球は高さ25mの外野フェンスを軽々オーバー。高校通算64ホーマーを誇るスラッガーです。






記者:
ネットの外にボールが出てしまうことはよくある?

浅野選手:
高1の時に(レフトフェンスの向こうにある)高松第一高校のガラスは割ったことあるんですけど・・・。

記者:(さっきのも)飛んでたもんね。

浅野選手:めっちゃ飛んでました。

記者:130mくらい?

浅野選手:はい。

練習にはプロのスカウトも視察に訪れ、今年のドラフトで高校生野手の目玉とも言われています。

浅野選手が立つのは右打席だけではありません。

新チームから始めた左打席でも悠々と外野の頭を超すバッティング。64本のホームランのうち4本は左打席で放っています。

浅野選手:
左打ちは体のバランスを整えるっていう意味でやっていて、試合で打ってみたら打てたので、左も挑戦してみようかなと。


甲子園、春夏通じて49回出場を誇る名門校の高松商業ですがその練習環境は決して恵まれてはいません。専用グラウンドはなく他の部活動と兼用。グラウンドを使用できる日には限りがあり普段は校舎の空いたスペースも有効活用し練習に励んでいます。

記者:
週に何回全体を使って練習できる?

浅野選手:
2回です。月曜と木曜だけです。

記者:
もっとやりたい?

浅野選手:
集中できるというのがあるので結構いいかなと思うのと、そのほかの日は4か所バッティングだったり、室内練習場で打ち込んだりできるので、(練習できる日を)増やしてほしいというのはないかもしれないです。

スペースを有効活用した練習で甲子園出場を目指す高松商業。その中でも常に念頭に置いていることがあります。それは、グラウンドのホワイトボードに大きく書かれている「全力の中で形を作る」。

イチローさんが高松商業に伝えたこの教えが、高松商業を支えていました。

浅野選手:
これはずっと意識してやっているので。結構みんな全力で振ってます、しっかり。今まで結構当てるだけとかのバッティングしてたんですけど、しっかり振ってちゃんとしたフォームっていうのを、試合でするようなフォームっていうのを練習でして身につけるっていうのは意識しています。

さらに走塁でも、イチローさんに教えてもらったリードの取り方を意識。



山田選手:
イチローさんに教えていただいた第2リードのとりかたを意識して、シャッフルをやってます。インパクトの瞬間のスタートだったり、タッチアップとハーフの境目だったりっていうのが今までは分かりにくかった部分も、ハーフの取り方を変えることによって野手がボールを落としてからホームに帰ることが出来るので、そういったところがだいぶ変わったなと思います。