警察官「まあ、捏造ですね」ずさんな捜査に、省令の不備も…

警視庁公安部のずさんな捜査も明らかになった。
逮捕から8か月後、内部告発の手紙が会社に送られてきた。手紙には、捜査の問題点を知っているある捜査員を、法廷で証言させるべきだと書かれていた。

手紙の差出人
「彼は貴社側に立った見解を持っており、警察組織の意向とは関係なく、自分の意見を貫くタイプの人間です。警察側に不利益となる情報が明らかになると確信しています」
大川原社長
「我々にとって非常にありがたい言葉。裁判を戦っていく中で、後ろで支えてくれてる人がいるんだなということで、我々としてはより頑張れる」
社長らが国などに賠償を求めた裁判では、捜査を担当した警察官が法廷に立ち、異例の証言をした。

警察官
「まあ、捏造ですね」
別の警察官
「捜査幹部がマイナス証拠をすべて取り上げない姿勢があった」
また、輸出規制を所管する経産省が省令の不備を認め、捜査に消極的だったことが警視庁のメモから明らかになった。

経産省担当者の発言
「本当に情けない話だが、この省令には欠陥があるとしか言いようがない」
「警察が都合の良い事実のみを経産省に伝えているのではないかと感じることが多々あった」
だが経産省は、急に強制捜査を容認する姿勢に転じた。

経産省担当者の発言
「ガサ(家宅捜索)をやること自体は悪いことではない」
「公安部長が盛り上がっているというのは耳に入ってきている」
そして、公安部は…

捜査関係者
「あれが、強制捜査に至るきっかけだった。経産省がお墨付きを与えてくれた。明確な根拠もないのにガサをすべきではなかった」
さらに、元取締役の島田さんを取り調べていた捜査員が調書を廃棄していた。この捜査員が部内の報告書に、「調書を誤って廃棄した」などと記したことついて、別の捜査員がこう書き加えた。

別の捜査員のコメント
「完全なる虚偽報告」
「よくこんな報告書が作成できるよな。どっちが犯罪者か分からん」
2023年12月、裁判所は国などに約1億6000万円の賠償を命じた。しかし、国などは判決を不服として控訴した。
警視庁のコメント
「起訴が取り消しになったこと自体については真摯に受け止めています」
だが、ある捜査関係者は私たちの取材に対し…

捜査関係者
「大川原は昔から中国とズブズブで真っ黒な会社。世界のトップ企業だから摘発した。捜査は完璧ではなかったが、別の切り口から犯罪を立証できたかもしれない」
一方で、別の捜査関係者はこう本音を吐露した。

捜査関係者
「責任を感じている。正しい情報を把握出来ていれば、捜査の中止も検討すべきだった」
良心の呵責に苛まれていた捜査関係者もいた。
捜査関係者
「組織には3種類の人がいる。『間違った事をやる人』『沈黙する人』『声を上げる人』。特定の捜査員が間違ったことをやり続けた。誰も声を上げることができなかった。被害者の方に本当に申し訳ない」

大川原社長(2023年12月・判決後の会見)
「自分たちは跳ね返して名誉回復できたからいいんだけども、そうではない人は沢山いるんだろうと思うんです。謝罪がないと検証もない、それが何とかされるまでは言い続けたい」