「路面電車サミット」の後に(富山市と宇都宮市)
じつは日本とて指をくわえて見ていたわけではありません。97年には「路面電車サミット」が開かれ、路面電車のメリットの活かし方や、デメリットの解消などについて話し合われました。特にクルマとの共存には懸念点も多く、「クルマ社会」の地方都市では歓迎されない部分もないとはいえませんでした。

そこに吹いたのが世界的な「エコの風」だったのです。
まず富山市は2006年に中心地から海に向かう路線をJRから譲り受け「ポートラム」として開業しました。
その後、環状トラム「セントラム」を開業、接続したのです。いずれもヨーロッパ型の低床式トラムでした。なかなかオシャレです。

そして昨年スタートした宇都宮の「ライトライン」。これまたヨーロッパ型のオシャレな車体です。「チンチン電車」ではなく「LRT(ライトレールトランジット)」を標榜しています。

「真のエコ交通」にするために
いまも地方都市を中心に、新たな路線の開業や既存路線の改良が考えられています。エコという目的のみならず地域経済の活性化や観光振興にも貢献すると考えられているからです。
総じて、日本の路面電車は、歴史的な背景と市民の支持を得ています。これらをうまくいかし、現代的な利便性と味付けを施し、今後も都市交通において重要な役割を果たすことが、いま期待されているのです。