「1対2で負けた大きなポイントは、4番のホームラン」
―――5月24日~26日は甲子園で『伝統の一戦』が行われました。掛布さん、やはり巨人戦は特別なものですか?
「特別ですね。巨人戦はファンの方たちがちょっと違うムードを作ってくれますので、選手にとってちょっと違う空気感の中でやる野球ですね」
―――交流戦前の最後の3連戦。24日はノーヒットノーランを献上、25日は完封勝ち、26日は延長戦で逆転負けという流れになりました。この3連戦、どのように振り返りますか?
「両チームとも打線はそんなに状態が良いわけじゃないんですよ。4番が打つか打たないかで、勝ち越すか負け越すかが決まったと思うんですね。3戦目の岡本くんのホームラン。状態はそんなに良くないですけども、あの場面で打てる4番のホームランが勝負を決めるわけですよね。しかもゲラの失投ですよ。甲子園の浜風を考えれば、あのコースに絶対投げてはいけないんです。外中心に攻めなければいけないのに、やや真ん中からシュート回転した一番飛ぶゾーンに投げてしまった。配球ミスもあります。反対に阪神の4番の大山ですけども、7回に菅野くんの投げたスライダーをヒットにしましたが、このスライダーは菅野くんが試合後に“投げミスの1球”だと言っているんですね。この1球だけを後悔していると。この投げミスをレフト前にしか運べない、ピッチャーの投げミスを長打にできない4番(大山選手)と、岡本くんとの差。1対2で負けた大きなポイントは、4番のホームランなんですよね」
―――ホームランを打たれたゲラ投手のその失投は球速がけっこう出ていましたが?
「どんなに速いボールでも、あのコースに投げてはいけないんです、絶対に。甲子園の浜風を考えれば、右打ちの4番バッターが左中間方向へ気持ち良く打てるコースには絶対に投げてはいけない。梅野も、もっと外を中心に、もっと繊細な、そして大胆なリードをしなければいけない。そういう入り方をしないと。(この3連戦は)1戦目から1点しか取られていなかったんですよ。戸郷くんにノーヒットノーランされたときも、阪神の投手陣は1点で抑えているんですよ。そういうゲームの流れを考えると、岡本くんに対してもっと慎重に、絶対にホームランを打たれないよう、バッテリーで作っていかなきゃ。それだけピッチャーが続けてきた3連戦の流れがあるんですよ。あの1球で全ての流れが切られてしまう。あの1球ってすごく大きいんですが、あの1球を仕留めた巨人の岡本選手もすごい。あっぱれ。大山は、4回に菅野投手がカウント3-1から投げたど真ん中のストレートを打ちましたが、センターフライ。7回のチャンスではレフト前ヒットを放ちましたが、この2球の失投を長打にできないんですよね。この4番の差が、1勝2敗・2勝1敗という勝ち越すか負け越すかの差として出た。4番のバッティングの差ではないかなと。ちょっと大山には厳しいことを言いますけど」














