おととし9月、北海道旭川市で、小学生の娘の“いたずら”から30代の夫婦を殺傷した罪に問われ、1審で求刑どおり懲役25年の判決を受けた58歳の男の控訴審…札幌高裁は28日午前、男の控訴を棄却しました。

控訴を棄却された川口被告、廷内スケッチ(28日午前、札幌高裁)


 起訴状などによりますと、旭川市の無職、川口和人被告58歳は、近くに住んでいた30代の夫婦、Aさん(夫)とBさん(妻)の小学生の娘が玩具の銃の弾=BB弾を被告宅に投げたことをめぐり、訪ねて来たAさんとBさんを折りたたみナイフで何度も突き刺し、Aさんを殺害、Bさんを殺害しようとして重傷を負わせた罪に問われています。

川口被告宅前の事件現場(おととし9月、旭川市)

 去年11月14日から旭川地裁ですすめられてきた1審(裁判員裁判)では、被害者特定事項秘匿制度により、夫婦は匿名にされ、小学生の娘、妻のBさん、川口被告の隣人のXさんとYさん、さらに被告の精神状態などを鑑定した医師の証人尋問などが行われてきました。

きっかけは、小学生の娘が川口被告宅に投げつけたBB弾

 検察は「残忍な犯行で、落ち度がない被害者の刺し傷は20か所にも及び、被告に反省の態度は一切、見受けられない」と厳しく指摘し、懲役25年を求刑。

検察庁に身柄を送られる川口被告(おととし11月)

 一方、弁護側は「被害者の風貌などからくる恐怖感から、全て自己防衛的であり、正当防衛である。殺すつもりはなく、殺人も殺人未遂も成立しない」と反論。

1審では、検察の質問に全て黙秘、謝罪もなし(去年11月20日、廷内スケッチ)

 川口被告も、検察からの100項目以上の質問に対し「取り調べで屈辱を味わい、精神が破たんして自殺を考えた」と全て黙秘した上で、Aさんから「いきなり大声で『おまえか!どこだ!どこに傷があるんだ!この野郎!』などと恫喝され、とにかく離れて欲しかった。胸に切りつけた後の記憶がない」などと主張していました。