《西山さん 警察官に直接質問する》

(裁判長)「ここは、意見を言う場所ではありません。原告に対しては質問をしてください」

 裁判の終盤には、西山さん本人が警察官に直接質問する時間も設けられた。裁判長からそのように諭されると、西山さんは静かに頷き、立ち上がった。

(西山さん)「先ほど代理人から取り調べの中で、『イスを蹴ったり机をたたいたりはしていない』とあなたは答えましたね?」
(警察官)「はい。そうしたことは、していません」
(西山さん)「(バンバン)こういうふうにたたいたことはありませんか?」
(警察官)「一切ありません」

 淡々と否定し続ける警察官。西山さんも、冷静に、言葉を選びながら質問を続ける。

(西山さん)「そうですか…。あなたは何日も取り調べをする中で『俺がお前の不安を取り除いてやると』私に言いました。その理由は?」
(警察官)「取り調べで被疑者を改心させるため、反省させるために言ったことです」

 最後に、西山さん側の弁護士から、こんな質問が投げかけられた。

(西山さん側の弁護士)「あなたは今でも西山さんが殺害したと思っていますか?」
(警察官)「無罪判決が出ています。取り調べ官として取り調べをした私が答える立場にはない」

 その直後だった。

(西山さん)「答えてくださいよ!今でも私が犯人だと思っていると言ったらいいじゃないですか」

 それまでの冷静さを欠き、声を荒げた西山さん。法廷は、静まり返りまった。