スプリンターに専念するキッカケとなった4年前のGGP
20年のGGPに高校2年生の栁田はドリームレーン枠で出場し、10秒27と当時の高校歴代6位タイで走った。シニア選手と走る高校生は、萎縮してしまって力を発揮できないことも多い。栁田は当時から、格上の選手たちが相手でも力を発揮していた。それが国際大会での強さにつながっていく。
だが4年前の栁田は、走幅跳選手としても期待されていた。18年の全日本中学選手権、19年の国体少年B(中学生と高校1年生カテゴリー)と走幅跳で2年連続全国大会に優勝。2大会とも2位に20cm以上の差をつける圧勝だった。
しかし100mでも全日本中学選手権2位と、2種目で才能を示していた。4年前もGGPの約1か月前には走幅跳で7m51の自己新をマークした。だがGGPをきっかけに100mに専念し始めた。桐生祥秀(28、日本生命)が優勝し、ケンブリッジ飛鳥(30、Nike)が2位。リオ五輪4×100mリレー銀メダル・メンバーと戦ったことで、最速を突き詰める種目に心が動いた。
ドリームレーンを経験した翌21年は、100mでインターハイに優勝。22年はU20世界陸上6位と世界陸上オレゴン4×100mリレー代表、23年はアジア選手権優勝(10秒02の自己新)と世界陸上ブダペスト準決勝進出。栁田の世界に向かって成長する様子は、GGPの戦績にも表れていた。
【栁田のGGP戦績※種目は全て100m】
◆2020年(農大二高2年)
予選3組4位・10秒27(+0.7)=自己新
当時高校歴代6位タイ
決勝5位・10秒36(-0.2)
◆2022年(東洋大1年)
予選2組2位・10秒32(-0.4)
決勝4位・10秒27(+0.1)
◆2023年(東洋大2年)
予選1組3位・10秒13(+1.6)=自己新
決勝7位・10秒19(+0.4)
◆2024年(東洋大3年)
予選1組1位・10秒31(-0.7)
決勝1位・10秒21(-0.1)
今季も4月27日の米国でのレースで10秒02の自己タイ。GGP初出場時から見せていた大舞台での強さは、海外で2度も自己記録を出すことにつながっている。
5月25日のダイヤモンドリーグ・ユージーン大会参戦も決まった。ユージーンは記録が出やすい高速トラックとして知られる。10秒00のパリ五輪標準記録突破や、9秒98の学生記録更新も期待できる。単日開催競技会では世界最高レベルのダイヤモンドリーグでも、栁田は本領発揮するだろう。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

















