代表入りを左右する日本選手権

サニブラウンも6月中に標準記録を破れなかったときは、6月末の日本選手権(新潟開催)3位以内が代表入りの条件になる。今後はパリ五輪参加資格を得るのが前提だが、日本選手権の成績が代表入りを左右する。

参加資格は6月末までに標準記録を突破した選手と、6月末時点のRoad to Paris 2024(標準記録突破者と世界ランキング上位者を1国3人でカウントした世界陸連作成のリスト)で出場枠の56人以内に入っている選手が得る。サニブラウンも昨年すでに、標準記録を突破済みである。

坂井隆一郎選手(予選)

5月20日時点のRoad to Paris 2024では栁田が29位、多田修平(27、住友電工)が31位、桐生祥秀(28、日本生命)が40位相当、東田が41位相当、坂井が55位相当に入っている。多田までは安全圏と思われるが、桐生以下の選手は圏外に落ちないように世界ランキングのポイントも上げる努力をしなければいけない。

栁田、坂井、桐生、多田、東田は6月2日の布勢スプリント(鳥取市)にエントリーしている。栁田は5月25日のDLユージーン大会にも出場予定で、今季すでに10秒02で走っていることから、サニブラウンに続いて標準記録を突破する候補といえそうだ。

坂井はGGP決勝でスタート直後に両脚の内転筋が攣り、12秒34の9位。サニブラウンと同様、ケガに至ってはいないため、今後の試合出場は可能と思われる。桐生とともに布勢スプリントで標準記録突破や、Road to Paris 2024の順位を上げることが期待される。

だが多田は4月29日の織田記念で右ふくらはぎを肉離れ。日本選手権までにレース復帰は難しい状況だ。日本記録(9秒95)保持者の山縣亮太(31、セイコー)も右脚に違和感が出ているため、日本選手権欠場を表明している。

桐生祥秀選手(東日本実業団陸上)

各種目の代表は最大3人。日本陸連は日本選手権優勝者で、参加資格を持つ選手を代表に選出する。さらに参加資格を持つ選手で、日本選手権の順位が上の選手から代表に選んでいく。参加資格を得る選手は4人以上になるだろう。そうなれば現実的には、日本選手権3位以内がパリ五輪代表入りの条件となる。今後は各選手の五輪参加資格を確定させるプロセスと、最終的には日本選手権の戦いが男子100m代表争いの焦点になる。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)