ダイヤモンドリーグ蘇州は北口が勝利も、5月に入ってウルタドが今季世界最高
今季に入って3人は早くも直接対決した。4月27日のダイヤモンドリーグ蘇州(中国)大会で1~3位を占めたのだ。優勝は24年最初の対決も北口で、6回目に62m97を投げ、2回目の62m12でリードしていたリトルを逆転した。2位がリトル、3位が4回目に60m70を投げたウルタドだった。リトルはブダペストでは6回目にその試合の最高記録を投げたが、蘇州ではファウルに終わった。
「マッケンジーには『今度からあなたには、最後まで気をつけるわ』って言われました(笑)」
北口の6回目が終わるまで喜ばないようにする、という意味だろうか。
それにしても「メダル交換しない?」に続いてのジョークである。リトルとはダイヤモンドリーグではよく同室になり、何でも話せる間柄になっている。冗談に本気も混ぜて話してくるようになったのだろう。
蘇州では60m70に終わったウルタドだが、5月12日には66m70とブダペストで出した自身の南米記録を1m以上更新した。大会前日の会見でウルタドは、記録更新の理由を「数カ月前にケガをしていたのでフィジカル面の練習にも力を入れましたが、テクニック面を重点的に練習してきたことが大きかった」と話した。
北口とウルタドの対決は蘇州で4回目だが、北口が全勝している。GGPでの対決も北口優位と思われたが、66m70を投げたことでウルタドが今シーズンの実績で1つ飛び抜けた。ただ66m70を投げた場所もブラジル開催のイベロアメリカ選手権で、世界トップレベルの選手が集まっていたわけではない。昨年のブダペストで殻を破った可能性もあるが、世界大会やダイヤモンドリーグで再現できるとは限らない。
対戦成績では北口とリトルも、北口が9勝3敗と圧倒的に勝ち越している。だがリトルが勝った試合の1つが東京五輪(北口12位、リトル8位。国立競技場)で、昨年のGGP(横浜開催)でもリトルが優勝(64m10)したのに対し、北口は4位(61m34)に終わっている。
「マッケンジーにGGPの開催場所が、オリンピックと同じ国立競技場だよと言ったら、すごく喜んでいましたね。好きなんだと思います、国立競技場が」
メダリスト3人それぞれに、誰が勝ってもおかしくない実績がある。勝負の行方は本当に6回目の試技が終わるまでわからない。ブダペストの戦いを受けての戦いになるが、前述のようにリベンジマッチではなく、パリ五輪など今後の3人の関係性を占う意味の大きな大会になる。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真は左からウルタド選手、北口選手、リトル選手

















