車を走らせること約30分ー。

着いたのは、小気味よい音が聞こえてくる家具工房春夏秋冬(かぐこうぼう・しゅんかしゅうとう)です。

壁一面に道具が整理され、木のぬくもりが感じられる工房で、ユリウスさんは木と向き合います。


来日の一番の目的は、伝統的な日本の家具作りを習得するための、半年間の武者修行です。

ユリウス・キルマイアさん:
「節は本当に嫌い(笑)」
家具工房春夏秋冬 藤原哲二さん:
「節ねぇ硬いねぇ。節だらけじゃしょうがない」

師匠は、この道55年の藤原哲二(ふじわら・てつじ)さん75歳。

2011年から続けている機械を一切使わないという家具作りを、半年間でユリウスさんに教え込みます。

家具工房春夏秋冬 藤原哲二さん:
「プロセスが一番大事だと思っているんですよ。人間の手の道具だけで作っていくという感覚が一番大切だと自分では思っている」

藤原さんが感じる手作業の醍醐味は…

家具工房春夏秋冬 藤原哲二さん:
「やっぱり音が好きですよね。音がこの仕事の楽しみ。この音があるから頑張れる」

実は、ユリウスさんはドイツでも家具職人として働いていました。

木の切り出しなどに大きな機械を使う方法が肌に合わず、手作業の技術を身につけたいと一念発起。

ドイツにいた藤原さんの知人の縁で信州にやってきました。


ユリウス・キルマイアさん:
「(手作業の家具作りは)難しいけど、とても楽しいんだよ。ドイツでは機械の音が好きじゃなくて、ここの雰囲気はドイツと違ってとても平和ですよ。音とか匂いとかとても好きね」

はじめは、鉋(かんな)や、のこぎりの扱いに四苦八苦したというユリウスさん。

しかし、4か月の修行で道具の扱いもすっかり慣れました。