成功体験から繰り返すように「捕まらない、と思っていた」
Aさん(30代)「仕事で嫌なことがあったりした時に衝動的に民家の周辺を徘徊してしまうとか、盗撮でいうとお風呂場を覗いて、盗撮ができてしまう、そのような成功体験を味わってしまうとそこから抜け出せなくなるというような感じでした。捕まらないという勝手な妄想と、捕まるかもと思ってもそれより衝動が勝ってしまうという感じです。」
性加害者などに向けた治療プログラムを受けることを決意
盗撮をやめる転機になったのは、逮捕のきっかけになった警察からの職務質問でした。
民家の風呂場を盗撮をしていたところ、警察から職務質問を受けたAさん。そのことを知った妻から、性加害行為やその行為への依存を治療する専門機関への受診を勧められたのです。
Aさんは、妻がインターネットで探した施設のうち、対面で相談できるところを選びました。
Aさんが現在通っているのは、「ふくおか心理教育オフィスヒュッゲ」。認知行動療法による治療を行う機関でした。認知行動療法とは、どういうときに問題行動を起こしやすくなるのかなどといった自分の思考や行動のパターンを把握し、それに対する対処法や自己管理方法を学ぶものです。
Aさんが学んだ「認知行動療法」
「ふくおか心理教育オフィスヒュッゲ」では月に1度、2人~3人の少人数グループで治療プログラムが行われます。
それぞれが近況を報告しあったあと、後半は認知行動療法に基づくアプローチで、ストレスや怒りを感じた時の管理方法や対処方法などについて学びます。
さらに、学んだことを日常生活でも常に実践できるよう、毎回必ず学んだことに関連する「宿題」が出されるそうです。
Aさん(30代)「”コーピング”というものがあって、例えば、ストレスを感じたときに宝くじが当たったことを妄想するとか、自分の気持ちの切り替えの方法。これが宿題として出されます。『あなたが実際にできるコーピングを考えて、やってみましょう。』『行動でできるコーピングを考えてみましょう。』というもの。僕だったら『普段あまり行かない道を選ぶ』とか。『ジュースをおごる」とか。後は頭の中で想像できるコーピング、これが『次の休みの計画を頭の中で立てる』とか、『自分の子供が大きくなったときのことを想像する』というもの。行動のコーピングと想像のコーピングというのがあって、宿題としてやった時に、図らずも今まで無意識でやっていたことも”コーピング”なんだっていう発見もありました」
治療を通して、問題行動を「選ばなくなった」
記者プログラムを受けてみて、効果は感じていますか?
Aさん(30代)「もちろん、問題行動をしてしまうことはなくなりました。今回の治療というのは、盗撮などの問題行動という悪いものを直接潰すのではなくて、新しい選択肢を与えることによって、問題行動という選択肢を徐々に減らしていったり、自然消滅させていったりというやり方だと僕は思っています。