去年10月プロジェクトチーム始動


JR九州で、新観光列車のプロジェクトチームが、本格的に動き出したのは去年10月。

チームを率いるのは、営業部で入社16年目の松本拓也さんです。

JR九州松本拓也さん「気持ちも奮い立ちましたし、ただ進んでいくにつれてプレッシャーは感じていたんですけどもとにかく、やるしかないってことで」

最大の挑戦はデザイナーの起用


「かんぱち・いちろく」で、最大の挑戦となったのが、新しいデザイナーの起用。

これまでJR九州の多くの観光列車を手掛けてきた工業デザイナーの水戸岡鋭治さんではなく、鹿児島市のデザイン会社IFOOが起用されました。

JR九州松本拓也さん「霧島神宮駅をリニューアルするというところで出会いまして、その事業がきっかけで、IFOO様の思いとか、デザインの特徴なんか知ることができて、今回新しい列車のデザインのお願いをした」

「時間の中に埋もれた価値に光を当てる」というデザインの理念が、新観光列車のイメージと合致したためです。

IFOO八幡秀樹社長「久大本線の今までの歴史や風土、文化、そういう事と列車が一体となって表現できる、五感で感じられる様な列車ができないかなと」

ベースとなる車両は、観光列車「いさぶろう・しんぺい」。2020年7月の豪雨で被災した肥薩線の復旧が見込めないため、インバウンド需要が高い博多~由布院・別府間の新たな観光列車として、投入されることになりました。

台風で傷んだ神社の御神木はカウンターに


数十回にも及ぶ会議の末に決まった車両デザイン。

その核となるのが、2号車のカウンターとして取り付けられる、樹齢250年という杉の一枚板です。

台風で傷み、やむなく切り倒された熊本県の神社の御神木からとったもので、長さは約8メートル、重さは230キロにもなります。


機械はいっさい使わず、人力で運び込まれ、傷をつけないよう細心の注意を払って取り付けられました。

IFOO鷹野敦さん「沿線の文化・魅力を体現する要素が、散りばめられていますので、車両全体と窓から見える風景を、同時に楽しんで頂けるとありがたいなと思います」