SMILE-UP.の抗議は“論点ずらし”
「言論の自由もあると思うんですね」と東山さんが発言した部分はBBCの番組で放送されましたが、その「言論の自由」を履き違えているんじゃないかと批判も受けました。それについても東山社長は週刊新潮のインタビューに「それも僕はこういう意図で話したんです」と事細かに語っています。
おそらく週刊新潮の記事はSMILE-UP.のチェックが細かく入ったんでしょうね。実際、失言の乏しい内容になっていました。
そもそも東山社長が「『なるべくなら誹謗中傷をなくしていきたいと僕自身も思っています』という部分をカットされた」と抗議していますが、今の世論はそのことだけでSMILE-UP.に対して批判的になっているわけではありません。
同時に「言論の自由もあると思うんですね」という言葉の使い方だけに批判が向いているわけでもありません。もっと総合的に判断した上で形成された世論です。例えばBBCのモビーン・アザー記者から「ソーシャルワーカー(社会福祉士)としての正式な訓練を受けたり、性的虐待のサバイバーのため正義を確保したり、カウンセリングの訓練を受けたりしていますか」と聞かれると「いや、それはないです」と答えています。そのうえで「僕が被害者の声を聞くことで少しでも心が癒されれば」と発言する。そういった東山社長の姿勢にカウンセリングをなんだと思っているんだという声だって上がるわけです。
ほかにも東山社長は「ジャニー喜多川氏以外にも性加害を行ったスタッフがSMILE-UP.に2人いた」「その人たちは既に会社を辞めています」さらに「情報を警察に提供していない」と述べています。アザー記者が「常識としてその情報は警察に提供する必要がありませんか」と質問すると「法的なことを考えると、僕らには権限がないと思いますので」と後ろ向きの回答。性犯罪が非親告罪化されたことを知らないのでは、とも言われています。
そういった煮え切らないとも取れる態度を繰り返してきているから、総合的な判断が、「いったいSMILE-UP.は真剣に補償に向き合っているのか」というところに繋がっているのです。
それを東山社長、並びにSMILE-UP.が「あそこの部分をカットしたBBCはひどいと思いませんか、皆さん」と日本のメディアにアピールするような動きは、僕には論点ずらしとしか映りません。あるいは抗議によって、少しでも時間を稼ごうとしてるのだろうかとすら感じますね。やっぱり記者会見を開くしかないと思います。