星氏「岸田総理はまったくめげていない」 “解散”いつ?

藤森祥平キャスター:
今回の補選では3つの選挙区で自民党が負ける結果になりました。唯一、与野党対決となった島根1区では、当選となった立憲・亀井亜紀子氏(58)に82691票、自民・錦織功政氏(55)に57897票と差がつく結果となりました。

期日前のJNN出口調査で、島根1区の自民党支持層の投票先を聞くと、立憲・亀井氏が31.0%、自民・錦織氏が62.0%と約3割が立憲民主党に投票するという結果でした。
小川彩佳キャスター:
自民党が議席を守り続けてきた島根でこの数字、自民党にとってどのくらいショッキングなことなのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
相当ショッキングなできごとだと思います。今回の補選のポイントは3つあります。

1つ目は、元々自民党はかなり優位な立場にありましたが、その約3割が「棄権」ではなく、立憲に投票したということで、これは自民党にとっては非常に大きなマイナスになったわけです。
2つ目は、立憲もこういう構図を知っていたため、保守系の亀井氏も「脱原発」などリベラル系の主張は抑えて、自民党票の取り込みに専念したことが功を奏したようです。

3つ目は、この島根1区のようなことが全国で起きたら「政権交代になってしまう」という危機感があり、自民党議員に取材すると「このまま解散すれば、政権交代(2009年)の再現になりかねない」という雰囲気を感じます。
小川キャスター:
自民党内からは岸田総理に対する厳しい声も上がっているようですが、その中で岸田総理は次にどういった手を打つのでしょうか。

星浩氏:
解散の情勢は厳しいですが、岸田総理は解散権をどこで行使するかということを真剣に考えていると思います。

総理周辺の情報では、岸田総理はまったくめげていないということです。6月には所得減税が行われ、賃上げも進み過去最高水準です。さらに、政治資金規正法の改正を野党と合意して成立させようとしているということもあり、成果を生み出せばそこで政権に勢いを戻して解散に踏み切ることも考えられます。
解散は法律や予算と違い、岸田総理1人の決断でできるものです。つまり閣僚全員が反対しても岸田総理が断行できますので、政治学というより心理学に近い岸田総理の分析が必要です。
小川キャスター:
腹づもりのようにいかなかった場合、どうなるのでしょうか。

星浩氏:
6月になっても政権の勢いが回復せず、解散どころではないという状況は考えられます。その場合は解散を見送り、岸田総理が9月の自民党総裁選に出ても全く勝ち目はありませんので、自民党は新総裁のもとで解散総選挙という道を探ることになると思います。
小川キャスター:
まずは実効性のある政治資金規正法の改正となるのか、しっかり見ていかなければなりません。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年