花粉の輸入に頼ってきた農家は「どうしたらいいの?」…深刻な問題に

(甘水園 猪飼幸宏さん)
「農水省から、中国の花粉が輸入停止になって、今日本では自家採取した花粉でしか、つけられないようになってしまった」

中国で、梨やリンゴの葉や枝がやけどをしたように枯れてしまう病気『火傷病』が大規模に広がっているため、農水省が花粉の輸入そのものを禁止したのです。

(甘水園 猪飼幸宏さん)
「中国の輸入花粉分を日本の人件費で作ろうと思うと、(同じ値段では)無理なので、買った方が早い。手間も考えたら圧倒的に買った方が楽」

全国の梨農家の実に3割が輸入花粉に頼っていたため、ことしは梨の生産そのものが危ぶまれているのです。

愛知県で梨の生産が盛んな安城市と刈谷市には、77軒の梨農家がありますが、そのうちの半数が中国からの輸入花粉を使用しています。

地元のJAは、受粉の時期に重なったこの事態に警戒を強めています。

(大石アンカーマン)
「こういったピンチというのは今までなかったですか」

(JA愛知中央会 富永紘基さん)
「初めてのことです。花粉を持ってない方は『どうしたらいいの?』と最初に口をついて出た。産地の中でも、猪飼さんのように『花を譲るよ』と言ってくれる人がいる。おいしい梨を皆さまの所にお届けできる努力を続けていきたい」

猪飼さんの農園にも、別の梨農家が訪れていました。

(梨農家 早川加代子さん)
「100%中国からの輸入花粉を使っていた。(花粉の採取は)初めて」

『自分で採取する』という条件で、無料で受け入れています。

古くは日本書紀にも登場するほど、昔から日本人に親しまれてきた梨。
しかし、かつてないピンチを迎えている中、ことしの旬には、ひょっとしたら『貴重な果物』になっているかもしれません。

2024年4月11日放送 CBCテレビ「チャント!」より