■医療体制はアンバランスなまま 「社会経済を回すにはそれなりの体制と行動を」
ホラン千秋キャスター:
それぞれの分野において、おそらく医療従事者の皆さんの考えというのはそれぞれ違うと思いますが、このタイミングでこの提言を出されたというのは、やはりこのままいくと医療の形というものが保てないという危機感があるんでしょうか?

国立病院機構三重病院 谷口清州 臨床研究部長:
おっしゃる通りです。我々医療側としては最大限の努力をもちろんしますが、もうかなり限界に近づきつつあるので、まずきちっと考えていただきたい。
政府や国民は社会経済を回していくことを選択されたわけです。当然のことながら、感染者が増えるというのは予測できるわけですし、軽症者もたくさん出るってこともわかっていたわけです。
ただ保健医療体制というのは、これまでの感染者を抑制したときの体制そのまんまです。こういうアンバランスがあるからこそ今のような状況になっているわけで、社会経済を回すにはそれなりの体制と行動をしていただかないと持ちませんっていうことをきちんと、お伝えしなきゃないと考えています。
ホランキャスター:
社会の方針を変えていくのであれば医療の方針も変えてくださいということだと思うんですが、今挙げられたいくつかの提言の中で、まずここはとにかく早急に着手してほしい、変えてほしいというのはどこですか?
国立病院機構三重病院 谷口 臨床研究部長:
今、本来受診して治療を受ければない方たちが、受診できていないっていうのが最も大きな問題だろうと思います。実際に、この疾患の多くは軽症ですし、少なくとも発症当時、いきなり重症になることはありませんので、慌てて受診される必要はないわけです。
学会の先生方が提言されましたように、ある程度自己で状況を見て、その上で判断してほしいということをまず考えていただきたいと思います。
ただ陰性を証明したい、陽性を証明したい、それだけで受診していただくことは医療機関の負荷を高めますので、そこの受診について判断をきちんとしていただきたいのが、今一番大事なことだろうと思います。
ホランキャスター:
確かに社会の方針が変わるのであれば、それに対応できるような医療体制に変えていってほしいという願いというのは、その通りだなという感じがしますね。
オンライン直売所「食べチョク」代表 秋元里奈さん:
やっぱり“できれば1人でも多くの人を診たい”と医療従事者の方が一番思っている中で、こういった提言を出されることに切迫感というか、本当に危機迫るものがあるんだなっていうのはすごく感じますね。現場の方々の負担を減らすためには何が一番効果的なのでしょうか。
国立病院機構三重病院 谷口 臨床研究部長:
まず、本当に医療を受ける必要がある方に受診していただきたい。
ただ元気だけど、陽性か陰性か見たい。そういった方はできれば病院に来るのをご遠慮いただきたいということです。やはり、ただちょっと熱が出ただけで救急車を呼ばれると本来救急車で来なければならなかった人の救急車を使ってしまうことになるわけですから、ちょっと考えていただきたいということです。