「熱中症特別警戒アラート」の発表は極めてまれか? 過去に例のない危険な暑さ

今年も暑い夏が予想される中、環境省と気象庁は24日(水)、「熱中症特別警戒アラート」の運用を新たに始めました。この情報が発表されるときは広い地域で過去に例のない危険な暑さが予想され、人の健康に重大な被害が生じるおそれもあるため、ふだんの熱中症対策では足りないことが懸念されていて、一層の対策が必要になります。

これまでも、環境省と気象庁は共同で「熱中症警戒アラート」を発表してきました。これは気温だけではなく、湿度や輻射熱(照り返しの熱)の効果も加味した「暑さ指数(WBGT)」の値が、33以上になると予想されたときに発表される情報です。この熱中症警戒アラートよりも、さらに深刻な健康被害が起きうる危険な状況となることを強調する情報が熱中症特別警戒アラートで、こちらは暑さ指数が35以上になると予想されたときに都道府県単位で発表されます。ただし、熱中症警戒アラートが都道府県内のいずれかの地点で暑さ指数が基準に達すると予想された場合に出されるのに対して、熱中症特別警戒アラートは原則として、その都道府県内全ての地点で暑さ指数が35以上になると予想される場合に発表されます。しかし、過去にその基準を満たす事態になった例はなく、最も近かった2020年8月11日の埼玉県の例でも、全8地点のうち35を記録したのは越谷、久喜の2地点のみでした。こうしたことから熱中症特別警戒アラートの発表は今のところ、かなり限定的になりそうです。

とはいえ、もし、この熱中症特別警戒アラートが発表された場合は、“災害級の暑さ”が迫る緊急事態だととらえるべきでしょう。熱中症特別警戒アラートが発表されている間は、自治体が「クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)」を設けることが義務付けられています。クーリングシェルターとは、暑さをしのげる場として冷房設備を有する等の要件を満たすことから指定された公民館や図書館、ショッピングセンターなどの施設です。