軒並み思い出深いですけど、IMAGICAのフィルムの色彩調整部門「タイミング」に所属していた頃の作品で『トニー滝谷』です。

亡くなった市川準監督の作品で、ものすごく難しい作品で、今も好きな人が多い映画です。アニメーションでは『ポケットモンスター』もテレビシリーズと劇場版の初期から数作を担当していました。キャリアの初期に担当したので、ポケモンと僕の歴史は一緒みたいな(笑)

近年では、新海誠監督の『天気の子』『すずめの戸締まり』の技術コーディネートや、ドルビーシネマでの上映を意識して作った『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』など。

やはり、新しい技術を使った一発目の作品というのは転機ですよね。本当に多くの作品、色々な節目で新しいものに関わらせていただきました。

──現在取り組んでいる作品について教えてください。

『今際の国のアリス』でも、シリーズごとに毎回新しいことに挑戦しています。

例えば、シーズン1はSDR仕上げ、シーズン2はHDR仕上げです。

ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、シーズン3でも新しい挑戦があって、今までできなかったVFX技術もありますし、撮影スタジオも含めて、挑戦することが多いです。それに対して僕の中でかなり時間はかけていると思います。

© 麻生羽呂・小学館/ROBOT

2023年12月に竣工したTHE SEVENの専用の「M6スタジオ」でも一部の撮影を行っています。

このスタジオを作る時に、ポスプロスーパーバイザーの観点から意見を出し、撮影データを扱う専用の部屋を作りました。現場ですぐにデータのクオリティチェックまでできる設備は国内では珍しく、スタジオを作ってゆく過程もまた新たな挑戦で、楽しいものでした。