東京駅だからこそできる“新幹線でネタ直送”

そして駅寿司の激戦区となっているのが東京駅。駅ナカでは9つもの寿司店がしのぎを削っています。

その中の一つ、「グランスタ東京」の中にある「羽田市場」は、東京・関西・九州で9店舗を展開する回転寿司店。

こちらは、東京駅ならではの“武器”があるといいます。

回転寿司羽田市場 グランスタ東京店 内山重行店長:
「東京駅は新幹線の始発、終着点でもありますので現在週2回、宮城県は石巻漁港より東北新幹線を利用して鮮魚を運んでいます」

この店では、新幹線で魚を輸送しているんです。
使っているのは、JR東日本の物流輸送サービス「はこビュン」。
早いだけでなく、世界一といわれるほど時間に正確な新幹線は、揺れも少ないことから、緊急の輸血用血液や精密機械なども運んでいます。

東日本旅客鉄道 堤口貴子さん:
「(物流の)2024年問題とかで、各地から特に遠距離のものを運びづらくなる話があるので、客席にも荷物を乗せて展開できないかと検討しています」

駅寿司で“寿司の街”アピール作戦

駅寿司があるのは東京だけではありません。
山陽新幹線のぞみの停車駅、JR小倉駅(福岡・北九州市)の改札の中に3月オープンしたのが「立喰寿し 平四郎」。

新幹線のホームに続くエスカレーターのすぐ横にある、カウンター7席のみの立ち食いスタイルの寿司店で、職人が握るお寿司を1貫88円(※税込)から楽しめます。

「九州=魚は鮮度が命と思っています」と話す通り、ネタは北九州を囲む3つの海、玄界灘・響灘・周防灘で獲れた魚を毎日地元で仕入れ、北九州ならではの寿司を提供。

サバを締めずに生で握った「活さば握り」(396円※税込み)を食べたマーケティング部の重松部員は「甘い!生のお刺身のサバ初めてです。(身が)フワッと濃厚な感じで溶けた!」

駅ナカに寿司店を誘致したワケ、それは便利なだけじゃなく、ある切実な思いもあったといいます。

西日本旅客鉄道 山本朋弘さん:
「北九州は実は寿司の街なんですけど、それが世の中に全然伝わっていないということもあって、北九州の玄関口である小倉駅でしっかりとPRしていきたい」

観光や出張のお客さんをターゲットに新幹線の目の前で、寿司の街をアピール。
オープンから1か月ですが1日平均200人が足を運んでいるといいます。

取材中には、88円のマグロ1貫だけを食べ「ダメだ!時間ない!」と、滞在時間3分22秒で新幹線の発車1分前にホームへ向かっていく客の姿も。

全国で急増する”駅寿司”は、すぐ握ってくれる、選べるネタが多い、そして少量でもOKなタイパ最高の“駅ナカフード”でした。