■「死ぬ権利は生まれる権利と同じ」
カトリックが多く、安楽死に反対する声が根強くあったスペイン。しかし、ラファエルさんのような患者の声を受け、国民のおよそ9割が支持するようになり2021年、安楽死法が成立しました。安楽死の合法化はヨーロッパではスペインが4か国目。カナダやコロンビアのほか、アメリカやオーストラリアの一部の州でも認められています。今年6月で施行から1年が経ち、およそ160件の安楽死が認められました。

スペイン国民
「施行1年で160人は多いですね」「160人は多いですね。ずっと苦しんでいた人が多かったのだと思います」
一人息子のラファエルさんを介護している母親のマリサさん(75)。息子の選択を尊重しながらも、『最後まで生きてほしい』と話します。

ラファエルさんの母
「私が議員だったら安楽死法を成立させませんよ。でも息子が望むならば止められません。息子自身が決めることですから」
数年前はベッドから起き上がれない時期もあったというラファエルさん。最近は調子がよくなり、家のテラスに出て日光浴もできるようになりました。

ラファエルさんは「安楽死の選択肢があることは生きる支えにもなっている」とした上で、こう主張します。

ラファエルさん
「自分自身で、好きな時に痛みなしに死ぬことができる。死ぬ権利は生まれる権利と同じです」