「垂直統合がキーワード」

『BYD』が売れる理由に中国人の特性があり、それに応えられたメーカーが生き残ると劉氏は言う。

中国自動車工業協会 劉偉 理事
「中国人は新しい物好きだから、開発速度が速くなければならない。既存の自動車メーカーは5年に1回大きなモデルチェンジをして…(中略)このスピードでは中国の競争環境についていくことはできない。もっと早くモデルチェンジしてニーズに応えなければ…。市場はやはり消費者ありきだから…」

『BYD』は市場のニーズに応えて次々と新型車を発表する。もちろん粗製乱造ではない。新車開発のスピードにも“ワケ”があるというのは自動車産業を長年取材分析してきた中西孝樹氏だ。

自動車アナリスト 中西孝樹氏
「垂直統合がキーワードですね。中国で作ってる『BYD』ですと75%が内製品(自社で賄う)ですので…。(他から買った方が安い部品もあるが)とにかく進化のスピードが速いですから、それをサプライヤーとすり合わせている時間が無駄なんですね。自分たちの意思で変えていきたい部分は垂直統合して、スピードを持った開発をして、かつスケールもそこでできる。(スピード開発が必要でないものは)よそから買えばいい…。それが徹底してできてる…」

『BYD』は元々リチウムイオン電池では世界3位の電池のメーカーだった。だからEV界でもハード面での成長は予想できた。一方で運転支援システムなどのソフト開発ではヨーロッパの既製品を使うなど弱みもあった。ところがここ数年で様子が一変したという。

自動車アナリスト 中西孝樹氏
「数年の間に突如1万人以上のソフトエンジニアを持つ世界でも先進的なソフトウエア会社になった。(何故そうなったかというと)非常に決断が速い著名な経営者なんです」