大事なのは“固執しない”
大迫:ボストン(マラソン)を選んだ理由っていうのは、アップダウンが多いというところもありますし、特に理由は大きな理由はないんですけど、自分がこう走ったら、何が一番自分のためになるのかなとか。オリンピックも最初に登って下るコースだと思うんですけど、ボストンマラソンのアップダウンの多いコースなので、いいシミュレーションにはなるかなという思いですね。
石井:やっぱりオリンピックっていうのは自分でペースを作っていって勝負していく。色んな戦い、駆け引き、常に柔軟に対応をしなきゃいけない部分も大きくなってくると思うんですけど、その柔軟性という部分に関してはどう捉えています?
大迫:シンプルに捉われないというか、固執しないっていうところは大事かなって。あとは受け入れるっていう言葉が僕の中では一つキーワードかなとは思います。色んなことに当てはまるかなと。マラソンって屋外の競技でいわゆる自然と向き合う訳ですけど、じゃあ雨が降ったら走らないのかとか、雨が降ったら嫌な気持ちでするのかとか、風が吹いたら向かい風、追い風ありますけど、外部の要因で凄く変わると思うんですけど、でも内部の心っていうのは、恐らく受け入れたら常に同じ努力値で出来ると思うんですよね。
そういうのがコンスタントに結果を出したりとか、一つチャンスがある時にそれを掴むことに繋がるんじゃないかなと思っています。
石井:自分自身の中で変化していくことも大事なわけですよね?でも規律も必要だっていう。
大迫:そこら辺が何かちょっと難しいというか。あまり変化していい部分とブレちゃいけない部分。僕自身が世界と戦いたいっていうところは一貫してブレないことですし、ただそこに向けて細かい調整っていうのは、やはり柔軟に対応していかなきゃいけないですし、太い幹っていうところの部分ですかね。一貫性とやっぱり規律を持たなきゃいけない部分は、他の部分は、どう花が咲いたら綺麗かって、たくさんのパターンがあるじゃないですか。
そこは色々と自分の中で、今回こういう風にされた方が、実がなった方が綺麗だなとかって思う時もありますけど。でもそれって太い幹で、まっすぐ伸びていればいいですけど、しっかり根っこがはっていないと、そういうものって作れないと思うので、そういう芯を一貫性を持って、規律を持って作っていくってことが一つ大事なことなんじゃないかなと思います。
石井:パリ五輪というのをどう捉えているのかというのが、僕らも気になっていたんですけど。
大迫:(3月3日の)東京マラソンが終わって内定が決まったことは非常に嬉しいことですし、かなりポジティブに頑張りたいなという気持ちが出てきたというのは正直なところですね。
石井:今回のパリ五輪でご自身が登ろうとしている山というのはどんなものになるんですか?
大迫:今山を登り続けている途中で、上に行けば行くほど標高も高くなっていく。あまり上の方まで見えていないというか。今はしっかり足元を見て登っていく作業に徹底していけたらと思っています。
マラソンを走ることって困難にぶち当たることと一緒。必死な走りになると思うんですよ、さすがに。コースもきついですし。そんな頑張りを見てもらえたらと思います。

















