「法律論で感情考慮は許されない」無罪主張の弁護側

一方の弁護側。責任能力の判断というのは難しいと繰り返しつつも、犯行当時の河野被告は、強固な妄想に支配されていて行動制限能力を有していなかった可能性に触れた。そして、裁判員に向けて語りかけた。

「争点の責任能力の有無は法律論になる」
「ご遺族の気持ちを考えると、とても『無罪』などとは言えない。3人もの方が亡くなっている事件、こんな重大事件で『無罪』というのは気が引ける、率直な感情の動きとして、このような気持ちになる方もいるかと思う」
「しかし、法律論において感情を考慮することは許されない。いたたまれないから、難しくてよく分からないから、心身耗弱に留めておこうという判断は、絶対にしてはいけない」
「判決を下す以上、心を鬼にして感情論を排し、徹頭徹尾、理論を用いて議論いただきたい」

その上で、河野被告は犯行当時、心身喪失だったとして無罪を主張した。