生理周期は、排卵を境に卵胞期と黄体期に分かれ特に黄体期に増える女性ホルモン「プロゲステロン」が、体調不良の原因となります。アスリートの多くもプロゲステロンが増える生理前に不調を感じ生理が終わるとともにコンディションが良くなる傾向にあります。
ただ、その体の変化には個人差があるため、自身の生理周期とコンディションの関係を把握することが重要です。
潮田玲子さん
「生理って個人差もありますし、あとは”個の差”、私の中での差もあるんですよ。今月はすごく不調、だけど先月は生理でも何の影響もなかったというのは、今でもあるんですね。言いやすい環境を作って選手も自分のことだからしっかりと伝える、遠回しに言わずにしっかりと伝えてコミュニケーションを取っていくのが大事なのかなと思います」
参加した中学校教諭(女性)
「みんな気にしているんですけど、みんな気にしてみんなどうにかしたいのにどうしていいか分からない。特に男性は。オープンに、フランクにできることが一番いいんですけどね」
女性特有の体の変化は、特に男性がすべてを理解することは難しい。それでも社会の変化を感じるという潮田さんは、今後の展望をこう語りました。

潮田玲子さん
「この団体(Woman''s ways)を立ち上げて、生理の特集など、メディアを通して話す機会がものすごく増えている。「女性の体を理解しよう」みたいな流れが結構高まっていると思うんです。性教育がもっとオープンになって、お互い男女の体を理解すると、考え方もきっと変わってくるので、そうやって今私たちが伝えていくことがスタンダードになったら、この活動が終わってもいいのかなと思っていますけどね、細々とかんばります(笑顔)」
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取材後記(RBCスポーツキャスター 下地麗子)
講演会では、生理痛をおさえたり生理周期を調整できたりする低用量ピルの紹介も行われました。※ピルの使用を希望する際は、婦人科を受診し医師に相談してください。
生理周期が自分の体調やパフォーマンスにどんな影響を与えているか、「自分を知ること」は、競技を安心して続けるためにも大切です。
自分の体の変化を、生理周期を管理するアプリなども活用して把握することができれば、強度の高い練習をいつ組み込むか…など、練習スケジュールの作成にも役立ちます。それでも、指導者に自分が生理だと口頭で伝えるのは、ハードルが高いもの。
講演会では、日ごろ付けている練習ノートなどを活用し、自身の体のコンディションを5段階や10段階で表記していく方法が提案されました。口では言いにくいことも、紙に書くことで、指導者に伝えやすくなるかもしれません。
今回は10代の選手や指導者を対象にした講演会でしたが、「女性の体を理解する」ことは、学校を卒業してからも求められる意識だと感じます。例えば企業では、どんな環境が整えば女性が「生理休暇」をより取得しやすくなるか、模索が続いています。10代の選手たちが部活動の現場で、生理についてよりオープンに話せるようになれば、彼女たちが社会人になったとき、「生理休暇」の議論はより話しやすいものになるかもしれません。その意味でも、潮田さん・中川さん・狩野さん が発信するメッセージはより良い社会づくりにつながっていると思いました。