「バイデン政権はイスラエルに武器を提供し続けるために・・・法律から目を背けている」
インタビューしたもう一人は、オバマ・トランプ・バイデン3代の大統領の下、アメリカ国務省で武器支援を担当してきた人物だ。
ジョシュ・ポール氏。彼はアメリカの武器支援策の矛盾に抗議し辞職している。

元アメリカ国務省政治軍事局局長 ジョシュ・ポール氏
「2023年2月バイデン政権は新しい通常兵器移転政策を発表した。アメリカが輸出した武器が民間人への攻撃など人権侵害のために使用される可能性が高い場合は武器の移転を許可してはならないとしている。(中略―――だがガザ地区で民間人が犠牲になっているのにイスラエルへの武器移転は許可されている…)これは第一にトップが決めた方針だ。最初の段階からイスラエルへの武器支援には条件を付けるつもりはない。レッドラインは存在しないと明言している。アメリカが安定的に武器を供給している限りイスラエルが外交的メッセージを重要視する理由はない。重要なのは武器なのだ…」
ポール氏はガザ地区を爆撃している戦闘機も爆弾もアメリカのものだと言い、追加支援された強力な2000ポンド爆弾が人が密集した難民キャンプで使われ、何百人もの民間人が死亡したと話した。これは明らか政策や法令に違反しているとポール氏は訴える。
元アメリカ国務省政治軍事局局長 ジョシュ・ポール氏
「バイデン政権はイスラエルに武器を提供し続けるために非常に明確なアメリカの法律から目を背けている。(中略)イスラエルは(アメリカの要請に応じ、兵器が民間人に使われたかを調査した)報告書を既に提出した。でもそれは公表されておらず、アメリカ政府はイスラエルが民間人に危害を与えていないと判断している…。私は報告書が真実だとは思っていない」
ポール氏は、ウクライナへの武器支援に関しては民間人への影響を激しく議論したのに、イスラエルへの武器供与に関しては議論すらしない。このことが“アメリカのダブルスタンダードだ”とワシントンポストに寄稿し抗議、自らの職を辞した。

明海大学 小谷哲男 教授
「これ異例なんですけど、アメリカとイスラエルは10年ごとに年間の援助額を決めた覚書を交わしている。だから毎年自動的にこの38億ドルをアメリカ議会は承認するという流れになってきました。それはアメリカの中にイスラエルの安全保障を重視するという考えが浸透してるから…(中略)ただポール氏が職を辞した時、バイデン大統領はイスラエル一辺倒だったのはたしかだが、大分政権の中も変わってきていてイスラエルが求めている者すべてを渡さないということもあり得るようにはなってきていると思います」