追加利上げはいつ? 注目のタイミングは!?

――利上げのタイミングはいつになりそうか?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
今の時点でメインシナリオはあるとしても10月から12月だろう。3月にマイナス金利を解除した。そこから半年ぐらいはその影響・効果をマーケットの反応も含めて、もしくは住宅ローン金利などの経済全般への影響を見極めるのだと思う。あったとしても年の後半、年末にかけてだと思う。ただもしこの先、円安が加速するようなことがあったら、早い時期、7月などに1回利上げというのは絶対にないとも言えない。

3月29日に大手銀行が住宅ローンの変動金利の据え置きを決めたが、今の時点で住宅ローンを借りていても慌てる必要は全くない。すぐに固定に変えるという必要はないが、高を括らずにしばらく様子を見たりウォッチしておく。日々の細かい動きはどうでもよく、大きな世の中の流れにだけはアンテナを張っておいてほしいと思う。その前にやるべきこととしては、今自分が住宅ローンを借りているなら、その契約内容を確認してほしい。この機会に「今の金利はいくらか」「もし固定に借り換えるとしたら金利はどれだけ上がるのか」それから借り替えるときに手数料が何十万とかかる。「今の契約の更新はいつか」ということを確認する良いタイミングになったと思う。

――金利のある世界になったら、日経平均株価は今後どうなっていく?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
海外投資家のジャパン・トレードが今後も続く可能性が出てきた。このジャパン・トレードは株価が上昇しても、円安になると、円の価値が下落する。海外の投資家は日本株を買うのと同時に、円を売っておく。そうすると、円安で利益が目減りする分を防ぐ為替ヘッジをしているということ。海外の投資家が、日本株を買うのと同時に、円を売る円安が進む。円安になると株価が上がりやすい(輸出企業が多いから)。これがジャパン・トレード。実際2023年の前半や2024年の年明け以降もジャパン・トレードが加速していた。簡単に言うとダブルで株価が上がりやすくなるということ。だから、この間賃上げをみて、海外投資家が4月以降また「日本株買い第3弾」を起こす可能性もなくはない。2023年春の4月から6月外国人が7兆円以上買い越しした1番の要因が2023年の春の賃上げ。「日本はいよいよインフレの時代に入るなら、日本株は買いだ」と。「しかも日銀は緩和的政策を続けると言っているならば、円も同時に売っておこう」とそれで2023年にジャパン・トレードが起きた。

――新NISA制度が始まったが、日本のお金は海外に流れているという話も話題になった。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
投資信託は多くが、オルカンやS&P500を買っているが、先日、日本証券業協会が2024年1月、2月の実績を公表した。実は新NISA経由で流入したお金の46%が日本株の個別株を買っている。(残りの半分は)海外が多いようだ。

――日本に投資している人もたくさんいるのか。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
思った以上にいる。事前の予想ではもう大部分が海外株に行くのではないかと。新NISAで外国株買うのを禁止されるのではないかという変な噂も出ていたが、蓋を開けてみたら半分弱は日本の個別株を買っていた。やはり配当利回りが高い銘柄など人気なところが買われている。1月は「待っていました」とばかりにまとめて買った人もいるだろうから、その傾向がずっと続くとは思わないが、一定程度日本株を買う背景にあるのは、日本株の伸びしろが広がっているということ。業績好調で、ちょうど1年前に東証が上場企業に「PBR 1倍を超えるように頑張ってくれ」と経営改善を要請したが、それに応える企業が確実に増えている。この先、元本割れする場面が何回もあるかもしれないが、長い目で見たら日本株も捨てたものではない。十分投資先になる。

――最後に改めて「相場の格言」を一ついただきます。

「日計足らずして歳計余り有り」。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
意味としては、利益が上がってないように見えて、日計りだと儲かってないように見えるけど年単位で見れば、儲かっているという意味。なので株価は乱高下するものだから、仮にこの先、大幅下落があり、目先の利益が一旦含み損になったとしても、長期的な目線で、きちんと投資を続けていくことが大事ということ。

――まさにこの番組を始めた1年半前に伝えた「長期投資」。それを表す格言。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
いい格言だ。