マイナス金利解除で、株価が上昇しそうな注目の「セクター」とは?

マイナス金利の解除で「金利のある世界」が戻ってくる。これからの投資はどうなっていくのか、どんな業界の株価に影響があるのかを聞いてみた。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
金利があるといっても、わずか0.1%。普通預金の金利が20倍になったといっても0.02%。ほぼゼロ。だから「金利がある世界」というよりは「ほとんど金利がない世界」という方がしっくりくる。今後、今の時点では日銀はどんどん利上げしていくというスタンスは全く見せていないが、金利が上がっていくことがあれば、そのときは当然株価にもマイナスの影響が出てくるだろう。でもセクターによっては買われるところも出てくるだろう。
――それは一体どういったセクターなのか?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
もし、日銀が政策金利をもっと上げていく、市場金利も上がっていくということが起きた場合に、株価が上昇しそうなセクターとして3つ挙げた。まず、銀行保険リース・金融関連。貸し出し金利が増える上に、金利が上がっていきそうだということになれば企業も、設備投資を早めにした方がいい、早めにお金借りた方がいいという資金需要も増えてくるだろうということ。
――「鉄鋼・紙パルプ」はなぜ?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
本当に金利を上げていくような経済環境というのは、景気がいいということ。景気がいいときというのは鉄鋼とか紙パみたいな素材関連、いわゆる「景気敏感株」が買われやすいと考えられる。
――アメリカなども?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
アメリカの鉄鋼・紙パルプはそんなに上がってる感じはない。アメリカはやはりIT・ハイテク関連が強い。アメリカと日本は産業構造が違う。日本は重厚長大系な産業が多いところがアメリカとは違う。
――日本だと鉄鋼・紙パルプセクターが注目だと。そしてもう一つが「空運」。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
日銀がもっと金利を上げていくとさすがに円高に動きやすくなると思う。FRBは早ければ6月、遅くとも年内には利下げに踏み切るだろうと言われている。FRBが本当に利下げを始めて、そのとき日銀が利上げをしていけば、日米の金利差がどんどん縮小していくので、円高に動きやすいと思う。円高になると、日本人が海外旅行に行きやすくなる。
――円高になるとインバウンドが減るのでは?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
多少はインバウンドの人が来なくなるというマイナスの影響あるかもしれないが、仮に150円が140円、130円まで円高になったとしても、その程度ならインバウンドの人は来る。先ほどタクシーの運転手さんが教えてくれたが、外国人の人たちが日本に来て「ものすごい国だ」と驚くのだと。
1つは、女性が夜1人で歩いていても全く問題が起きない光景は自分の国では見られないと。それから、どこのトイレに入ってもとても綺麗で「ここは食事ができるレベル」だと。財布を落としても出てくるとか。だから少しぐらいの円高で来なくなると想定する必要はない。日本は食べ物も美味しいし、観光資源がたくさんあるのでまだ来てくれると思う。もう1つ、空運にとって大事なのが燃料費。燃料はほぼ輸入。円高になると会社にとっては業績を押し上げてくれる効果も期待できる。
――金利が上がっていけば、こういったセクターが注目ですよと。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
今の時点では金利が上がっていく見込みは正直あまりないが、この先、円安がさらに加速した場合。例えば155円ぐらいまでいけば、政府も1回介入をすると思う。前回の介入も一時的にしか効かなかったが、その介入が効かなかったとき、そうなるといよいよ本来金融政策は為替のためにはやってはいけないことなっているが、それはあくまで表向きの話で、日銀も少し追加利上げというのを口先介入的なことはするかもしれない。
――皆、円安が行き過ぎて、物の値段が上がってしまうぐらいなら金利を上げて欲しいと思っている?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
4月から食品2800品目がまた値上げ。企業側はもう値上げにおよび腰ではない。この先もじりじりと値上げが続くと思う。それから、消費者側が「値上げは嫌だが必要なこと」と理解し始めている。
――賃金に繋がるなら、仕方がないと。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
消費者として値上げは嫌だが、自分の働いてる会社がきちんと値上げしてくれなかったら自分の給料増えないじゃないかと。パートナーの会社もちゃんと値上げしてくれないと、パートナーの収入が増えないではないかということに気がつき始めた。嫌だけど仕方ないという雰囲気ができてきている。