「宿直」は労働時間に含まれず ある医師の一日

さいたま市の総合病院で消化器内科の医師として働く市原さん。朝9時前に出勤すると早速、外来患者の診察に入ります。

研修医の指導をしながら患者の処置をしていると、救急からの呼び出しがありました。

市原医師 
「もしもし、じゃあこっちで診ます」

外来や救急の患者の対応、内視鏡による検査など休みなく働き続けた市原さん。午後5時半、ようやく勤務終了の時間を迎えましたが…

そのまま宿直勤務に入り、翌朝まで働きます。宿直中は救急の患者や入院患者の急変に対応しながら、空いた時間で食事や仮眠をとります。

市原医師 
「当直明けで普通に勤務がある日はその日一日働いて帰ります」

一見、長時間の残業に見える働き方ですが、この「宿直」は実は原則労働時間としてみなされません。病院が「宿日直許可」を取っているためです。

「宿日直許可」は業務の内容が軽度で睡眠も十分に取れる場合、病院が労働基準監督署に許可を取れば、宿直や日直を「労働時間とみなさない」仕組みです。

4月から勤務医の残業時間が規制されるのを前に「宿日直許可」を取る病院が増えているのです。

彩の国東大宮メディカルセンター 藤岡丞院長
「もちろん宿日直と言っても、病院にいて患者に対応する時間は(労働時間に)カウントされていくんですけれども、(残業時間を)960時間に収めるための、やや方策みたいなところもあります」

ただ、医師からはこんな本音も…

市原医師
「勤務時間も制限しなければ、我々医者の健康も守れないというのはご理解はしていただきたいなと」

「医療体制の維持」と「働き方改革」ギリギリの綱引きが続いています。