5年前に完成した北大東島の漁港。切り立った崖をくり抜いて造れたその姿は、まるで要塞のようです。断崖絶壁に囲まれ、漁港の整備が難しく漁船を吊り上げて漁に出ていた北大東島。こうした中、天候に左右されない高付加価値の水産業に取り組もう高級魚の陸上養殖に挑んでいます。

沖縄に生息しない高級魚を陸上養殖へ

沖縄で最も東に位置する北大東村。太平洋の荒波にもまれながら東京の八丈島や、やんばるからの移民を中心に、独特の文化を育んできました。

伊良波記者
「船の接岸が難しい北大東島では、かつては漁船もクレーンで宙に吊り上げ出港していました。漁に出られない日も多かったことから、島では水産業への新たな取り組みが始まりました」

その取り組みを見学できると聞いて訪れたのは、島の沿岸部にあるこちらの施設。以前はプールだった建物を改装し、ある高級魚の陸上養殖に取り組んでいます。

その魚とは…

仲宗根革さん
「この水槽にはヒラメが入っています。ここだけでも1500匹くらい入っています」

元気に泳いでいるのは、ヒラメの赤ちゃん。ふ化して4か月ほどです。そしてもう1つ、アワビの養殖にも取り組んでいます。

養殖場の所長を務める、仲宗根革さん。6年前に着任した頃は素人で、トラブルの連続だったといいます。

仲宗根革さん
「初めてこういう温かいところでアワビもヒラメもやったんですけど、最初死んじゃうんですよ。どうやったら海水に慣れるかとか、その辺から苦労です。入れて1時間後に全滅とか、調子よくても次の日には半分死んじゃったりとか」

寒い地域でよく育つアワビは、沖縄では数が少なく、ヒラメに限っては生息していません。そのため、県外に出向いて仕入れる必要があります。