暖冬で気温は激しくアップダウン なだれが起きやすい状況に

この冬は、期間を総じてみると気温が全国的にかなり高い“暖冬”となりましたが、実際は気温のアップダウンがかなり大きい冬でした。実感としても、季節外れの暖かさが続いたかと思えば、急に厳しい寒さがやってきて体にこたえたという方が多いのではないでしょうか。実は、このことが原因でなだれ災害が起こりやすくなっていることが考えられるのです。
防災科学技術研究所・雪氷防災研究センターの中村一樹センター長に話をうかがったところ、最近の相次ぐなだれ災害の理由として2つのポイントが考えられるといいます。
【1】降り積もった雪の質が変化すること
【2】低気圧の通過で質の違う雪が降ること
【1】の「降り積もった雪の質が変化する」とは、積雪の表面が日ざしや昼夜の気温の変化に伴って、日中はゆるんだり、また夜に凝結したりを繰り返して、滑りやすい不安定な層(弱層)が形成されることをいいます。霜の結晶が発達した「しもざらめ雪」と呼ばれる雪に変化した層の上に新たに雪が降り積もると、その不安定な層の上に積もった雪はすべり落ちやすくなってしまうのです。

この冬は冬型の気圧配置が長続きせず、雪が積もってはしばらく期間が空き、また降り積もるということが繰り返されたため、弱層が形成されやすくなってしまったおそれがあります。そして、この冬型の気圧配置が長続きしないということが、2つ目のポイントにも関係してきます。