本人の耳に入ることなく送金することは可能?

井上キャスター:
大谷選手が自分の言葉で発した部分について、四つの柱を立てました。

▼賭博への関与:賭けたり誰かに依頼したりしたことはない
▼送金について:依頼も許可もしていない
▼借金の肩代わり:同意したというのはウソ
▼いつ知ったのか:開幕戦後のチームミーティング

そして水原氏はどのような手段で、なぜ送金することができたのか。「大谷選手以外が大谷選手の口座から送金することは可能」という側面があります。

これだけの給料がありますので、個人口座(選手名義)と法人口座(選手名義)に口座を分けている、というふうに考えるのが自然です。信頼している人物に法人口座を任せるという場合も往々にしてあるわけです。

ホランキャスター:
「本人の耳に入ることなく、送金することなど可能なのか?」というふうに思う人も多いと思います。実際、アスリートで身の回りの世話をしてくれる人に、お金の管理を任せるという人もいると聞いたことがありますが、法人口座を任せるとなると、どんな形で任せることがあるんでしょうか?

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司 氏:
このような巨額のお金を持つ人というのは、スポーツ選手に限らず、例えば芸能人でも、何年か前に歌手のスティングさんが同じようにお金を抜かれた事件があり、口座が100口座あったという話もありました。

大谷選手が“どういう口座を使い、何をしたか”というのもあります。みなさんも記憶に新しいと思いますが、グローブを寄付をしました。この寄付に関して例えば、単に個人が出すのではなく、法人化しお金を出す、という形にすれば、税制的にも少し優遇が受けられる部分もあるので、一つの口座でお金を全て扱っているのは絶対あり得ないですよね。

例えば、大谷選手の口座が10も20もあるとしましょう。そうすると、アメリカでは「サイナー」といいますが、一つの口座に「権限を持ってサインができる人」を1人だけではなく、複数人設定することができます。

例えば、私が所属する事務所でも、私が日本に出張しているとサインができない。その場合、事務所の会計担当者を信用して、その人にサインしてもらう、ということも十分ありえるわけです。

もう少し踏み込むと、今回の場合は「8回から9回、送金をした」という事実が出てきていると思います。送金は銀行でセットアップをすると、メールに2段階認証を送るか、または日本で言うとショートメールを送り2段階認証する、というのを選べたり、両方にしたりする設定が可能なんです。

考えてみると、こういった有名選手が携帯電話を1個しか持ってないということはあり得ないですよね。少なくとも電話番号は複数持ってるはずです。メディア対応だったり、プライベートなど、いろんな番号を使い分けていると思います。

ビジネスのことに関しては、例えば水原さんにも「口座の管理頼むよ」「グローブ日本に送ってよ」「これ購入してよ」ということがあったと思います。

その2段階認証のメールも英語なので、水原さんが「2段階認証のメールをこの番号に来るように設定しといて」と言えば、要は会社で横領する、背任行為をする、というような形のと同じ構図で、十分に送金は可能だったと思います。