70代で新たな挑戦

1年半前、蔵重さんはピアノを習い始めました。夫婦とも縁が深かったまち、サンフランシスコ。亡くなった夫がよく歌っていた「想い出のサンフランシスコ」を弾けるようになるのが目標です。

蔵重さん
「楽しかった、大変だったサンフランシスコ。日本に帰るときにみんなに惜しまれるような仕事をしたいなと思いながら7年半、8年ぐらい過ごしましたけども。I left my heart in Iwakuni。岩国にこれから住むわけですけれどもいろんな思い出を毎日毎日花を通じて作っていきたいと思ってます」

世界を渡り歩いてきた英語力で海外の人にもいけばなの文化を広めています。障害がある人たちや未就学の子どもたちにも、いけばなを通して花に触れる楽しさだけでなく自然の厳しさも伝えています。

「心」写した作品が完成

県内の支部が集まって開かれる池坊のいけばな展の会場。蔵重さんの心を写した作品ができあがりました。

蔵重さん
「今年最初からいろんな不幸なことがございましたけども、常に明るくポジティブな感じを持ちながら前に進もうという。春になったらサクラも咲くじゃないですか。1人ではない、みんな関連があって、垂れるもの、勢いがいいもの、そういうものが全部助け合いながら1つの世界を持ってるっていう」

おかげさま、感謝、思いやり。目には見えないものを大切に。蔵重さんが常に口にすることばです。

蔵重さん
「人生の中で子育てをしたり私もいろんな経験をさせて頂きましたが、こうやってある時期を過ぎていくと、あのとき大変だったなと思ったことが今はよかったと思えます。同じ人に同じ場所で恩をお返しすることはできませんけど、今は岩国でお役に立つことができたら、いろんな場所に出て行って勉強しながらまたお教えしたいというふうに思っています」

喜寿にして学びの意欲は尽きません。