死者・行方不明者が2万2000人あまりとなった東日本大震災から11日で13年です。400メートル先のわずかな炎も検知する最新のAI、避難を呼びかけるドローンも…。繰り返される大地震から少しでも命を救うための取り組みを取材しました。

東日本大震災から13年

「考えるとこみ上げてくる…まだまだ生きていてほしかった」

「13年経ってもまだ、きのうのように思い出す。特に今年はお正月から大きな地震があった。東日本大震災を体験した人は一気に2011年に戻ったと思う」

追悼復興祈念式 岸田総理 
「能登半島地震をはじめとする自然災害への対応に活かし、災害に強い国作りを進めていくことを改めて、ここに固くお誓いいたします」

地震の被災 ドローン操縦者描く未来

2月下旬、岩手県・岩泉町で行われていたのは、災害時のドローン活用の実証実験です。

東日本大震災では大津波で壊滅的な被害が出た岩泉町。6年前、ドローンの専門チームを結成しました。

「大丈夫、きっとできます。操縦できてるから大丈夫です」

指導するのは、自身も仙台で被災した杉山健一さん(52)。ドローン撮影の会社を経営しています。

杉山健一さん
「今までの行方不明者捜索って、基本的に人。人が災害現場に行って、どこに人がいるのか(捜す)。それをドローンで代わりにやってしまいましょうというのが今回の目的」

今、災害現場ではドローンの活用に大きな期待が高まっています。

例えば、行方不明者の夜間捜索。

通常、捜索を行うことが難しい夜の間も、赤外線カメラを活用すると、早期発見に繋がります。さらに、避難の誘導にも一役買います。

ドローンにスピーカーを搭載することで、人が駆けつけられない場所でも安全な避難経路に誘導できるといいます。

岩泉町職員
機動力ですよね、一番あるのは。なんかあった時にすぐ動けるのがドローンの強み」

杉山さんは、こうした取り組みを全国の自治体に広げていきたいと話します。

小さい頃から空に憧れ、ラジコンヘリを飛ばすことが好きだった杉山さん。

あくまでも趣味だったドローンを仕事にしたきっかけは、東日本大震災での被災経験でした。

杉山さん
「ここら辺に私の家があって津波で流されて何にもなかった。こんなことが世の中あるのかなって思ってた。遺体もあるし、こんなにひどい状況なのかと」

幸い家族は皆無事だったものの、茫然自失の避難生活が続きました。

数か月後、そんな杉山さんのもとに、被災自治体からある依頼が…

杉山さん
「私たちがドローンを飛ばしているということを聞きつけて、ヘリを飛ばす前にドローンで空撮をして、沿岸部の状況をまず把握したい。そういう依頼がどんどん来るようになった」

依頼は年々増え、2015年に起業。これまで東北の被災地を空から見続けてきました。

杉山さんの次なる目標、それはドローンの自動化です。

センサーが揺れを感知すると、箱に入ったドローンがあらかじめ決められたルートを無人かつ自動で飛行する仕組みです。自動化することで、より安全でスピーディーな捜索が可能になるといいます。

杉山さん
「3.11の時も一番最初に被災状況の確認をしないといけないということで、消防団の方々とかが津波警報の中でも沿岸部を見にいって巻き込まれている。今考えるとあの時、今くらいの技術のドローンがあれば、もっと助けられる命あったんじゃないかなとかめちゃくちゃ思いますよね」

この13年で確実に進歩した災害での技術活用。

都心部の大地震への備えで大きな鍵を握るのが、「AI防災」です。