「浪江の誇りに」…特別な酒“故郷ふたつ”が海外へ

東日本大震災と原発事故を乗り越えて、福島県浪江町で酒蔵を再開させた「鈴木酒造」。2月、杜氏の鈴木大介さん(50)は、ある“特別な酒”を携えてタイ・バンコクを訪れました。

浪江で造った酒の海外展開に乗り出したのです。現地で開かれたレセプションで振る舞ったのは「故郷ふたつ」と名付けた酒。

飲んだ人
「タイ料理は辛いものが多いので、この甘い日本酒は相性がいいと思います」

山形で造った酒を浪江に運び、浪江の水と酒で仕込み直した特別な酒。
逆境に立ち向かい、力に変えて、生まれた酒です。

鈴木さん
「支えてくれた方がいっぱいいますし、避難して酒造りを始めた山形の土地がなければたどり着かなかった。文字通り、故郷がふたつある」

山形と浪江、2つの故郷を持つ酒が世界に羽ばたき始めました。

鈴木さんは、一度はふるさとを失った人たちの「誇りに繋がれば」と話します。

鈴木さん
「浪江に住んでいた人たちは『浪江ってよかった』と誇りに思っていたけど、それが震災で傷つけられた。その傷つけられた誇りを取り戻す作業をしていって、『やっぱり良かったんだね』と思ってもらうようなことをしていきたい