400万円の赤字 さらに施設は劣化

昨年度の請戸小学校の収支の状況をみると、入館料収入が約1300万円なのに対し、人件費、光熱水費など支出は約1700万円にのぼり、年間400万円近い「赤字」となっているのです。さらに、この施設特有の事情も経営を圧迫しています。

渡邊さん「保健室を見ていただくとわかるんですけど、津波の被害を受けてから13年という年月が経過して、元々天井からぶら下がっていたのがさらに落下の恐れがある状況になっている」

吹きさらしの施設は、長い年月の経過とともに、劣化も激しくなってきました。

渡邊さん「現在進行形で風化している状況も含めて震災遺構として公開しているが、来館されたお客様の安全に危険が及ぶ状態は避けるため、必要最低限の修繕、補修は行っていかなければならない」

2019年3月、浪江町で校舎の保存が議論された際、経営は厳しい状況が見込まれていたものの、町は赤字を覚悟のうえで「命を守る教訓」を後世に伝え続けることを決めました。

渡邊さん「指定管理者制度があるので、その制度を活用して民間の事業者のノウハウなど活用させていただきながら、より多くの人にこの請戸小学校に来ていただけるような魅力ある事業をやってほしいなという風に考えている」

町は、来年度にも指定管理者制度を適用する方針で、民間のノウハウを活かしながら収支状況の改善に繋げたいとしています。