「生きて罪を償うことが罰」死刑を免れた女たち、出口なき反省の日々
手を合わせるのは“生命犯”達だ。
70代前半・殺人
「朝晩やっている。気持ちが落ち着く」
50代前半・判決懲役15年 殺人
「自分の間違った選択で家族の絆を裏切って壊してしまった」
岩国刑務所では約10人の無期懲役囚、つまり“死刑を免れた女達”が受刑生活を送っている。満期が来れば必ず出所できる有期刑の受刑者は、無期懲役囚をどのように見ているのだろうか。

20代・大麻取締法違反
「無期になって、刑務所で生活してたらここが全てになってしまう。(無期懲役刑に)向き合えるのかなと思う」
60代前半・判決懲役7年 殺人
「私だったらとても…無期って受け入れられるのかなっていう怖さもあります」
無期懲役囚達は世間を震撼させた事件を起こし、死刑と紙一重だった。Aは獄中に飛び込んでくる“死刑執行”のニュースに敏感だ。

40代後半・強盗殺人 無期懲役囚A
「ニュースが流れているのは知っているが、あまり見ないようにしている。ひょっとしたら死刑になっていたかもしれないと背筋がぞくっとすることもあった」
Bは服役して23年。仮釈放の審査が開始される時には90歳を超える。共犯は死刑判決後、既に獄死している。

80代前半・殺人 無期懲役囚B
「死刑は逃れられない事件だった。被害者には申し訳ないけど、生きてここで生活してみて、色々考えてみると、自分も生きているんだなと」
Cの事件は被害者が2人。1審は死刑判決だったが2審で無期懲役に減刑された。共犯が20歳になったばかりだった事から裁判官が2人の死刑判決に躊躇したとも推察される。

50代後半・強盗殺人 無期懲役囚C
「まだ若いし、生きて罪を償わせる方が。(裁判長が言った?)言いました。自分が生きて罪を償うことが罰。死んでしまったらそれで終わり。私が苦しいのは生きること」
鮮明に記憶しているのは被害者が命を落とす瞬間だ。
50代後半・強盗殺人 無期懲役囚C
「(被害者の2人は)無駄に死んでいったと思っている。ただ命を奪っただけ。それを考えると申し訳なくて、無駄に命を奪ったと思って、それを考えるとすごく苦しくなる」
事件後、“家族が自分の存在そのもの”を消さざるを得なかったと語る。

50代後半・強盗殺人 無期懲役囚C
「事件後に出会った友達には、話していないそうなので、私という存在はいないことになっている」
逮捕から30数年が経った今、死刑よりも無期懲役囚として生き続ける事の方が辛いとも語った。
全国の女子受刑者は約3700人。うち約90人が無期懲役囚だ。短い刑期の受刑者が次々に出所して行く一方で“死刑を免れた女達”の出口の見えない日々が続く。